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「セット…スライムウォーターレーザー、ファイヤ」
俺の所に迫ってきた突然変異体の頭に指差す。
引き金となる言葉を言うとスライムから水が線を引くように高速で放たれ突然変異体の頭に穴を開けた。
この前は説明しなかった技で、原理はウォーターカッターと一緒。
切るか穴を開けるか、の違いだけだから別にスライムカッターでもいいんだけど…
ほら、技の名前はイメージ的にアレじゃん?
だから一応は違う技…と言う事で。
とりあえず一体は撃破。
スライムの攻撃を受けて倒れたやつを見て、すぐそこまで迫ってたはずの他の突然変異体は俺から距離を取った。
へぇ?本能的なアレか?中々賢いじゃないか。
でも残念ながらその距離ではまだ俺の間合いの中だぜ。
俺が指を鳴らすと突然変異体たちの背後からスライムが現れてスライムカッターを縦に放つ。
ちっ…3体も避けたか、無駄に良い反応してるじゃねえか。
だが二体は仕留めた…つーかやっぱりこいつら満身創痍みてえだな。
致命傷を食らっても回復せずに倒れたのが良い証拠だ。
あ、後ろに回り込んでたスライム達はさっきウォーターレーザーで飛ばした水だよ?
突然変異体を貫通させた時に後ろの方で待機させてたから。
んでもって…コレが最強のスライムの実戦版。
俺はただ突っ立って作戦さえ立ててればスライム達が実行してくれるっていう。
攻めはさておき、守りはオートで専守防衛してくれるからソレでもヤバくなった時だけ指示すればいいし。
おっと、まだ3体残ってたな。
…くっそー、空が曇ってなけりゃスライムビームを使えたのになー。
コレはどっかの学者のプリズム理論を応用した技なんだよね。
スライムの中で太陽の光を反射、乱反射させながら光を増幅させ集中照射させるやつ。
まあいわゆる…モンスターが良くやる熱線とか光線みたいなもん。
ビームは拡散させる事も出来て複数相手の時には一気に攻撃できるからなかなか重宝する。
…まあ太陽の光が無くともレーザーは使えるんだけど。
レーザーは光に近い電波だからねぇ。
少しの電波さえあればソレをまたしてもプリズム理論の応用で増幅、発振…
おっと、小難しい原理はさておこうか。
とりあえずビームより威力は劣るが、ソレに近いものが撃てるって事だ。
良く漫画でエレクトロマスターとか電気を操る奴がビームみたいなのを使ってるだろう?
簡単に言えばそんな感じ。
そして俺からスライムへの電波信号も、電波。
ソレを増幅させると…スライムレーザー発射OKっと。
「セット…ファイヤ」
6体のスライムから3体の突然変異体に向かってレーザーが放たれる。
「あ、一体逃した!」
二体の突然変異体には大きな風穴を開けれたが、最後の一体だけしくじった。
「うーん…そろそろ誰か来るかも…」
スライムウォールを解除して俺の所に戻し合体させる。
「うわ!まさかもう倒したとか!?」
「最後の一体が残ってるよ」
ショコラは突然変異体の頭に剣を突き刺した状態で叫ぶ。
「良かったー…なんとか負けるのだけは回避できたよ」
安堵の息を吐きながら剣を引き抜いて突然変異体を縦真っ二つに斬り裂く。
「勝負してたんかい」
小瓶に圧縮させたスライムを入れてコルクで蓋をした。
「あ!危な…」
「ん?」
ショコラが俺の後ろを指差したため、振り向くと突然変異体が間近まで迫っている。
「危なーい!」
剣を抜こうとしたら横から誰かが飛び込んで来て俺と突然変異体の間に割り込んだ。
「くっ!…君!ここは危ないから早く逃げて」
急に現れた誰かは突然変異体の攻撃を受け止めながら俺に逃げるよう促す。
「その必要は無いぜ」
「そうそう、俺たちも来たんだから逃げる必要は皆無」
割り込んで来た奴を追って来たかのように次々と現れる卒業生達。
「今度は逃がさんぞ!しっかり抑えとけよ!」
声と共に上から降ってきた男が突然変異体を大斧で縦真っ二つにする。
「ち、ちょっと!危ないじゃないか!」
「ははは、悪い悪い…モタモタしてさっきみたいに逃がすのは嫌だったんでな」
「だからって…!せめて合図ぐらいしてよ!下手したら僕だって怪我してたんだよ!?」
「だから悪いって言ってるだろ…犬じゃないんだからそう喚くなよ」
「大丈夫か?」
喚く男と笑い飛ばしてる男のやりとりを見てると別の男が話しかけてきた。
「ん?平気だけど」
「そうか、怪我が無くてなによりだ」
「これで終わりかな?」
小瓶をポーチに入れるとショコラが小走りで近づいてくる。
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