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「…ねえ、思ったんだけど…コレって夜まで続いたりする?」
「あー…どうだろ」
映画館から出てしばらく歩いてる二人の後ろを尾行?してる最中にショコラが聞いてきた。
あー、そういえばあの彼氏が最初に夜が云々言ってたな。
…いやいや、まさかだろ。
そんな時間まで付き合わないといけないのか?
「あ!程人君だ」
二人で疑問に思いながら歩いてると街中を歩いていたマキナとバッタリ再会。
…タイミング的に微妙だから普通にある事だよ…な?
「おう、マキナ久しぶり?」
「うーん…まだ一ヶ月も経って無いんじゃないかな?」
「マキナー!」
「え、嘘!ショコラ!?なんで程人君と!?」
ガバッと抱きついてきたショコラに驚きながらも、マキナはしっかり抱き返している。
「何でココにいんの?」
「ソレは私のセリフなんだけどな…一応彼氏とデート中、程人君は?」
「ショコラと一緒にリザリーからついて来いと言われ尾行中」
マキナは抱きつくショコラと仲良くイチャイチャしながら聞いてきた。
「あ、マキナ…そこはダメ…」
「えー?でも嫌がってないよ?」
「おい、マキナ、彼氏の前でショコラと百合百合すんな」
おそらくマキナの彼氏だろう男は、マキナとショコラのあまりの仲の良さに空いた口が塞がらない様子だった。
「あ、忘れてた」
マキナは酷い事を言ってショコラと離れる。
「お前らホント仲良いよな」
出会った当時は敵同士でライバルです!みたいな感じだったのに。
…もう一回りも昔の話だけども。
「え、このくらい普通だよ?」
「うん、挨拶みたいなものだし」
「…お前らのハグは挨拶としての意味合いと違うだろ」
普通はただ抱き合うだけで直ぐに離れるわ。
こんな身体のあちこちを触ったり撫でたり揉んだりはしないぞ。
「うーん…そうかなー?」
「少なくともこんな往来でする行為ではない」
みんな見てるんだよ…まあサングラスかけたニット帽の女と、帽子にマスクの女が百合百合してたら絶対に見るだろうけど。
だって見た目一発可愛いって直ぐに分かるし。
ニット帽や帽子では隠し切れてない。
そんな女の子達の百合百合はもう目の保養と言っていい…が、如何せん視線を集めるのは嫌だ。
「ってか、良く俺だって気づいたな」
「え?その程度の変装じゃ直ぐに分かるよ」
「そうか?」
見た目はいつもと正反対なんだけどな…
「だって無名を持ってるじゃん」
「…そりゃそうだけど」
竹刀袋に入れてるから見た目は剣だって分からないはず。
腰に差してるわけでもなく、杖のように持ち歩いてるのに。
「普通に見たら杖みたいだろ」
「うん、でもよく見たら顔は分かるよ」
「オールバックで伊達メガネでマスクだぞ?」
分かるのか…?まあ簡易的な変装だからバレても特に問題は無いけど。
「リザリーを尾行中なの?面白そうだから一緒してもいい?」
「もちろん」
「いや…俺はイイけど彼氏はいいのか?」
「えーと…マキナ、また今度な」
マキナの彼氏は凄い気まずそうな顔して足早に去って行った。
「だって、行こ?」
「ん…ってかこの状況でダメって言われてたら、私の場合は速攻で別れるよ」
「うーん、もう別に好きってわけじゃないし…ソレもあったかも」
「は~、告白されると最初は好きになるんだけど…二週間過ぎるとどんどん冷めてくよねぇ」
ショコラとマキナはいかにも裏話的なガールズトークをしながらリザリー達を早足で追う。
俺は軽い疎外感を味わいながらその二人の後ろをついて行く。
…女って本当に怖ぇな。
逆パターンだったら男もそんな事を言い出すのか?
あの女さー、見た目は良かったけど最近飽きてきたんだよね。新しい女を紹介してくんない?的な。
人間の内面って汚く醜いよなー、俺も大差ないけど。
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