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「あ、店に入った」
「…有名な三ツ星レストランだね」
「へー、色々と残念だけど坊ちゃんなだけはあるな」
「この店、予約は一年待ち。ってテレビで言ってたけど…」
マキナが思い出したように呟く。
「金さえあればどうにでもなるだろ」
「だよねぇ…でもどうする?私達は入れないじゃん」
「ん~…………そうだ!出てきたらリザリーに電話してもらえばいいじゃない?」
「おお、そりゃ名案だ」
マキナの提案に俺は早速ケータイを取り出してリザリーに電話をかけた。
いやー、マキナがついて来てくれて良かったなー。
俺たちだけじゃ『帰る』一択しか無かったし。
「よし、じゃあ俺たちもどっかで昼飯食うか」
電話でリザリーに提案して了承を得たのでショコラ達とそこらへんの定食屋に入る。
あっちの三ツ星レストランとこっちの定食屋じゃかなりの差があるけど…
いかにも庶民らしくて俺はこっちの方が良い。
「チキンのハーブステーキうめえな」
「こっちのチキンカツも美味しいよ?」
「私のオムライスもだけど…食べる?」
…?なぜ鳥肉ばかりに限定されてるんだ…?
俺→鳥肉を焼いたもの
マキナ→鳥肉を揚げたもの
ショコラ→鳥肉をご飯等で炒めたもの
この定食屋には他にもメニューはあるというのに……はっ!
コレが…似た者……同士か……っ!!
三人で互いに自分の頼んだ料理をあーん。と食べさせ合いながら昼飯を食べ終える。
勘定をした時店員に、あなたも実は女ですか?と尋ねられてマキナとショコラに爆笑された。
女装してないうえに俺はエリアと違って女顏でも無いわ!
…エリアに女顔って言ったら怒るけど。
本人は気にしてるのか、女顔の事でからかったらキレる。
それで何十回喧嘩した事か…懐かしいな。
「お、リザリーからワン切りだ」
定食屋から出てそこらのスーパーで飲み物を買ってると合図がきた。
「今度は何処に行くんだろう?」
「さあ?どうでもいいから早く帰りてぇ」
「ん~…あ!分かった!」
店から出てきたリザリー達の尾行を再開するとショコラが急に何かを理解したように声を上げる。
「どうした?」
「あの彼氏の方、さっきからどこかで見たことあると思ってたんだけど…電子機械研究の出資をしてる貴族の息子だよ」
「あ!そう言われたら…!良く気づいたね!」
二人してワイワイ盛り上がってるが俺にはサッパリだ。
「どういう事?」
「最近とある電子機械の研究が一気に進んでて、その研究が実用化したら楽に魔物を倒せるようになるんだって」
「それで、その研究を完成させるために多額の出資をした物好きな貴族が注目されてたの」
「ははあ…で、その貴族の息子がアレねぇ… 」
っつー事は……もしかしてリザリーの奴、研究の情報を聞き出すために付き合ってたのか?
「あー、もしかしてリザリーはソレを分かってて付き合ったのかも」
「一番の出資者だからね、研究の進み具合ぐらいは分かってるんじゃないのかな」
とりあえずマキナもショコラも俺と同じ考えだった。
やっぱりリザリーの事を良く知ってると…ねえ?
そうとしか思えない。
「でも息子だろ?研究の情報とか知ってんのか?」
「さあ?」
「知ってるから付き合ってるんじゃないの?」
「当主とかの方が詳しく知ってそうだけど…」
まあ将来ビジネス的なアレに発展するなら、次期当主のあの息子が知っててもおかしくは無いけどさ。
「あ、車に乗り込んだ」
「…これ以上の尾行は難しいな」
おそらくココで俺らもタクシーに乗り込んでリザリーを追うと尾行がバレる。
「あ、リザリーから電話」
どうしようか…と少しの間悩んでいるとショコラのケータイにリザリーから着信が。
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