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「あ、コレって原作が小説のやつだ…ドラマは面白かった」


「コレ見たいけど…コレ見てるのをリザリーにバレたら怒られそうだな」


「そだねぇ…あ、そろそろ上映時間だってさ」



迷ってると館内にアナウンスが鳴り響く。



どうやら考えてる時間はあんまり無さそうだ。



「…俺はリザリーの方に行く、後で酷い目にあいたくないから」


「じゃあ私もソコ行こうかな?リザリーに付いて来て欲しいって言われたし」


「いいのか?アレより絶対にコレの方が面白いぞ?」



アイアンメイデンルーレットとか、電気椅子ジャンケンとか。



犀殺とかヤバかったよな…サイコロ振って一が出たら檻が開いてサイが突進してくるっていうやつ。



「うーん…私だってたまには女らしく純愛物もいいかな、と…」


「そっか」


「それに、となりにていとも居るし…丁度…」



丁度?丁度の先が聞こえなかったんだけども……まあいいや。



うまく聞き取れなかったが特に気にせずにリザリー達と同じ部屋に入る。



「うわ…」


「マジか…」



中に入ってびっくり。



まだ上映少し前だと言うのに席が…





全っ然埋まってない。



ガラガラのスカスカだ。



リザリー、その彼氏、俺、ショコラを合わせて…ひーふーみー…



12人ぐらいか。



おそらく全員がカップルだと仮定してこの部屋には6組しかいない。



こんだけ席があって埋まってないって悲しいな…



「えーと…何番?」


「いや、もうコレ席の番号とか関係無いだろ」


「…ガラガラだしね」


「自由席だな…っと」



俺はリザリーを探して、そこから二列離れた右斜め後ろに座った。



あの残念なイケメン坊ちゃんがよく見えるぜ。



「この映画あんまり人気無さそう」


「んー設定がありきたりだから…っつっても時間帯にもよるんじゃないか?」



世間一般では平日だし、何よりまだ昼間だ。



ほとんどの人は仕事か学校に行ってる時間だろう。



『これより上映を始めたいと思います。お手持ちのケータイの電源はお切りになって下さい』



部屋が暗くなり、アナウンスで上映の際の注意事項が流れた。



「あ」



部屋が暗くなると同時に残念坊ちゃんはリザリーの肩を抱いて引き寄せ、キスをしようとする。



「させるか」



リザリーに迫っていく口にキャラメルポップコーンを指で弾いてぶつけた。



「??」



残念坊ちゃんはなにがあたったのか分からずにキョロキョロと辺りを辺りを見渡す。



へっ、ざまあ…俺が見てる前でそう簡単にできると思うなよ。



それからは特に目立った事はせずに上映が始まった。



「ていとのソレ、美味しそう」


「ん?半分食べるか?」


「ん、私のと半分こ」


「はいよ」



俺のポップコーンの箱とショコラのポップコーンの箱を交換して映画を見る。



うーん…あまり面白くないな…ふあぁ……眠ぃ…



主人公とヒロインがキスをしてる良い感じのシーンの真っ最中に睡魔と戦う俺。



残念坊ちゃんもリザリーになにもせずに食い入るように見てた。




「…微妙だったねぇ」


「そだな、なーんか中途半端」



まだロミオとジュリエット的なアレの方が面白いぞ。



「せめてロミジュリぐらいだったら…」



ショコラも俺と同じ事を考えてたらしくボソッと呟いた。



「お、出て行った」


「次はどこに行くのかな?」


「さあ?昼飯じゃねえの?」



出て行く間際にリザリーがチラッと俺らの方を向く。



…コレを選んで良かった…あと一つの選んでたら、出て行く時にいなかった事がバレてた気がする。

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