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「あ、止まった」
「…映画館だな」
歩く事一時間、デートプランの一番目は映画館だった。
「リザリーが小さく手招きしてるよ?」
「とりあえず行くだけ行ってみるか」
チケットを二人分買って映画館の中に入る。
「お、何買う?」
中の売店には様々なポップコーンや飲み物、お菓子が売られていた。
「ふわぁー、ココが映画館かぁ…私来たの初めてだよー…ふふっ、まるでデートみたいだね」
くわあー!ナニコレ!超可愛いんだけど!フラグか!?もしかしてフラグが立ったのか!?
くそぅ…コレが尾行じゃなかったらあんな所やそんな所に連れて行って遊ぶのに…!
「…まあWデートとも言えなくは無いな」
照れたようにはにかんだ笑顔を見せるショコラに一瞬見惚れつつも外面は平静によそおって返す。
ふっ…俺はバカじゃないから、尾行だけどな。とか雰囲気ぶち壊しの発言などしないのさ!
「ていとは来た事あるの?」
「3、4回ほどな」
リザリーやマキナ達とのデートが云々の時に来たな。
「へー…あ、リザリー達があの部屋に入って行く」
「とりあえず部屋の場所は分かったし、ポップコーンと飲み物買おうぜ」
リザリー達が入って行った場所を覚えて売店に並ぶ。
「何にする?俺はキャラメルでも買おうかな」
「うーん、じゃあ私はイチゴミルクかな」
ポップコーンと飲み物を買ってリザリー達がいるであろう部屋に入る。
…前に上映される映画を見た。
「うげ…純愛物かよ…」
しかも身分が違う二人が最終的に結ばれてハッピーエンドで終わるやつ。
「コレって確か…貴族のお坊ちゃんと庶民の娘が身分の壁を乗り越えて結ばれるやつだよね?」
「リザリー達と境遇が似てる…って言うか確実に確信犯だろ」
なんて気持ち悪い事をしやがるんだあの残念なイケメン坊ちゃんは。
「どうする?」
「どうするったってなあ…お、こっちの映画は面白そうだぞ」
頭を軽く掻きながら辺りを見渡すと面白そうな映画のポスターが目につく。
『タイムイズマネー』
舞台は自分の寿命とお金を等価交換出来る機械が存在した世界。
しかし寿命を金に、金を寿命に変える事は法律で禁止され機械の生産も中止…もはや機械は都市伝説と化す。
主人公の高畠 篤志はお人好し過ぎる性格から親友に騙され、多額の借金を抱えていた。
毎日毎日朝から晩までバイトしても額が額だけに追いつかない。
そんな折、ひょんな事で機械を手に入れ篤志の為に…と寿命を金に変えた最愛の彼女、時宮 ひまり。
ひまりはその金を貰った。と嘘を吐き借金を完済して篤志を喜ばせ、篤志と一緒に暮らす日々を幸せに感じていた。
が、寿命を減らしたひまりは日に日に元気を無くしていく…その様子見て何かの病気か?と心配した篤志が病院に連れて行くも原因不明と判断された。
何かひまりが元気になる方法は無いか…とアレコレと探してる篤志の元に不審な男が寄ってきて事の真実と共に、あるゲームの存在を告げる。
そのゲームの優勝賞品はあの機械だった、篤志は直ぐに参加を申し込むが…ソレは残酷で非人道的な危ないデスゲーム。
篤志がそのゲームに参加してる間にもひまりの寿命は刻一刻と近づいて来ている。
果たして篤志は危険なゲームで優勝し機械を手に入れてタイムリミットまでにひまりの寿命を取り返せるのか!?
って内容の小説を実写化した映画。
ドラマにもなってたりするんだけど…
俺は原作の小説しか読んでないな。
あの小説の原作者はアレだからなぁ…
原作は確か、主人公が優勝まであと二歩…!って所で死んでた。
で、結局不審な男からその事実を告げられたヒロインも自殺する…ってバッドエンド。
ドラマはなんやかんやでハッピーエンド。
まさかあの場面であの伏線が効いてくるとは…的な感じなのかな?
しかも、結構スッキリした感じでの終わりだったって。
一つはハッピーエンド、一つはバッドエンドだから…今回の映画はどうかな?
小説ではえ…?マジで!?って驚かされたし、ドラマはほとんどの視聴者がそうくるか…って驚嘆してたらしいし。
まあ別にドラマとか見たいとも思わなかったけど。
だってドラマが放送してる時期って4、5年前だぜ?
見る余裕なんて皆無だったわ。
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