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だから、今の俺たちの関係がある。



友達は自然にできて自然に繋がっていく、なんて才能のある奴だけが言える言葉だろ?



俺にはとても言えねえよ。



せいぜい、友達は努力して作り努力して繋げるものだ。ぐらいか?



良く考えたら抑圧の才能があってホント良かった。



怒りや憎しみ、殺意さえも押し込めるから…ぶつかり合って喧嘩にもならないし。



いつも折れるのは…負けるのは俺だった。



…言えばいじめられっ子にかなり近かったかもな。



話はちょい変わるが、良くいじめられっ子に『そんなの本当の友達じゃない!』とか言うやついるけど…



なんなのアレ?自分は才能があるから。って言う余裕?



そう言うの聞くと…お前も一度でいいから体験してみろよ、って思う。マジで。



別に友達が必要無いって奴はそれで良いと思うよ?



友達がいないから惨め…とかは思わないし。



ただ、友達を作るための努力を否定する奴は死ねば良いと思います。



そんな鬱的な精神病半歩手前な事を考えながら歩く事30分。



少年がヒいてからは主に俺はリザリーとしか話さなかった。



だってあいつなんかだんだんバテて来てたし。



森を走り抜けて、たかだか5kmの距離を歩くだけだぜ?



チートじゃねえのか?それとも、体力は無いけど魔力量は誰にも負けません!ってか?



まあどっちでもいいや、俺には関係ねえし。



「どうする?」


「どうするってか…こいつ見たら分かるだろ」



リザリーの質問に俺はため息を吐きながら答える。



「…そうね、とりあえず泊まる所かしら」


「宿屋か旅館かホテルか民宿か…」



あ、因みにビジネスホテルってのもあるよ?



ランク的にはホテル>旅館>ビジネスホテル=宿屋>民宿の順で料金もだいたいそんな感じ。



とは言え、やっぱりピンからキリまであるけど。



ホテルは最高1000万~最安3000

旅館は最高300万~最安2500

ビジネスホテルと宿屋は最高1万~最安1000

民宿は最高3000~最安800







でも最安だからボロいとは限らない。



最安の宿泊業はほとんどが副業をしてるため、最低ランクでも結構キレイだ。



とは言え、ユニオンだったら…だけどね。



ここはユニオンじゃないからな~…やっぱりここは無難に宿屋か?



「…やっぱり宿屋?」


「そうね、そのほうが無難だわ」


「だったら…あそこの宿屋かな、安いしキレイだしサービスもいい」



知る人ぞ知る、みたいな感じだから客もあんまりいないし。



「ソレは…経営的に問題は無いの?」



俺の呟きを聞いて心配そうに聞いてくる。



「ああ、宿屋は基本的に国から補助金が下りるから大丈夫だろ」


「…ああ、そうだったわね」



ど忘れしてたわ…と言いながらリザリーは少年の手を掴んで宿屋に歩いていく。



そしてそのまま部屋を二つ借りて…なんと俺も強制的にこの街に泊まる事に!



しかも俺とリザリーが一緒の部屋だし……他の部屋も空いてんのに何考えてんだよ。



因みに少年は斜め前の部屋に一人、だそうだ。










































































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