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「だからココに…」
「ほぼ確実にそういう事だろ」
「え?え?」
俺らの会話を聞きわけわからないような顔で俺らを交互に見る。
「グシャア!!」
「うえ!?また別のが出てきた!」
さっき撒いた魔物達が焼けた匂いを嗅いだのか、また現れた。
「おっと、魔物達も戻り始めてきたし…出るか」
「そうね、ほら行くわよ」
「え、うわ…!」
リザリーが少年の手を取って走り出し、俺はその後ろからついて行くように走り出す。
少年はリザリーに手を握られて顔が赤くなった。
「ここまで来れば安心ね」
「流石に森の外までは追って来ないだろ」
少年をつれて走る事20分。
森の入口を抜けて一旦歩みを止める。
「あの、魔物の群れはいったい、なんだったんですか?」
息は切れてないみたいだが、それでも言葉を切って質問する。
「は?あの森に生息してるに決まってるだろ、お前頭悪いのか?」
「な…!そんなの!分かるわけないでしょ!」
「状況把握能力が低いな…だいたいで察しろよ」
もっとファンタジー系かラノベ系の小説を読んだほうがいいんじゃないか?
アレはいいぞー、当たり外れはあるが…中々どうして面白い。
つっても最近のは設定が被りまくりでありきたりだからなー。
少し読んだだけで直ぐに展開が予想できる上に、ラストも予想つくんだよ。
んでもって予想を裏切らない。
…それでも心のどこかで裏切ってくれる事を期待しながら読んでるんだけど。
「察せるわけないでしょ!だいたい俺がいた世界にあんなの存在しなかったし!」
「ふーん、存在しない…ね」
「そうだよ!あんなグロいの初めて見たんだ…それで察しろってのが無理だろ」
「だから頭悪いって言ってるんだよ」
俺はさっきと同じ事をしれっと言い少年をバカにする。
「そろそろ街に向かいたいんだけど?」
俺と少年が言い争い?をしてるとリザリーが冷たい目と声で割り込んできた。
「…!わかりました!」
「そだなー」
少年は戦慄して俺はいつも通り返事する。
「いやー、たまにはその冷たい目と声もいいね」
「そう?」
「新鮮…ってわけじゃないけど、いつもと違った感じでクールビューティーぽいぜ」
「…ありがと」
「…もしかしてマゾ?」
歩きながらリザリーを褒めると恥ずかしそうに顔を逸らす。
少年の呟きはもちろん無視。
「うーん…見下すような蔑む目と声も良いんだけどなー」
なんて言うの?やっぱりたまにしか見せない一面ってーの?
毎日だったらかなりキツイけど、一週間に一回ぐらいなら見てみたいかも。
美形はナニしても様になるからほとんどの態度は目の保養ダヨネ。
「あんたって…マジでマゾ…?」
俺の呟きを聞いて少年がヒくような顔で距離を取る。
「ん?叩かれるのは嫌だけど、罵倒とかぐらいならたまにはいいんじゃね?ただし容姿は中の上以上に限るけど」
「…精神的な…!ドM…!」
「失礼な、男には我慢しなきゃいけない時があるんだぞ?」
じゃないと女の子は寄ってこねえぞ?
ほとんどの事を受け止められる、広い心と器を持ってこその紳士だろ。
ま、受け止めれる限度ってのも存在するけどな。
「俺はそうはなりたくない…」
「人それぞれだからな、俺の場合は…才能が無かったんだからしょうがない」
世の中には友達を作るにも、彼女を作るにも才能がいる。
当然俺には無いわけで…エルーは学生時代の寮の部屋が一緒だったから自然とそんな関係になった。
だがマキナとリザリーとショコラは同期生と言う接点だけ。
だから猛アタックして友達関係を無理やりこじつけ、離れないように努力して無理やり繋ぎ止めていた。
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