16
集中力を最大まで研ぎすました俺はメイドに血を吸わせてもらい、魔界に影移動した。
一応説明するなら…メイドはあの洞窟の入口に一人で居たわけではない。
6時間交代で他のメイドと代わる代わる見張りをしていた。
見張りっつーか…洞窟の入口で読書してたり、仮眠をとったりと結構自由にしてたらしい。
子供達は二人だけ洞窟内に入って来た。
一番目と二番目の下の子だったと思う。
200mぐらい進んで、結局引き返してたけど。
なぜアノ場所でそれが分かったのかは…第六感ってところかな。
集中力を研ぎ澄してると、視覚や聴覚では分からない微妙な空気の流れまで分かるようになってくる。
まあそこらへんはどうでもいいか。
とりあえず今の状況を説明すると…
俺は魔界にいる。
理由はライナの剣の材料を集めるため。
…まあ言うまでもないと思うけど一応ね。
俺は一つ目の材料を取るためにある場所に影移動した。
「お、ラッキー…魔物が全然いねぇや」
全然いないと言っても20匹ぐらいはいるんだが。
襲いかかってくる魔物を適当にあしらい、一つ目の材料をゲット。
バッグに入れて次の場所へと影移動した。
「ふしゅー…ふしゅー…」
二つ目の材料の場所には厄介な魔物の姿が。
気づかれないように気配と足音を消しながら遠回りして、発掘する。
流石に音で気づかれたが…目当てのモンはゲット出来たため全力で逃げた。
魔界で生き残るには、いかに魔物との戦闘を避けるか。にかかっている。
会うやつ全部と戦ってたら半日も経たない内にお陀仏だぜ?
今の俺なら会うやつ全部と戦っても生き残れるぐらいまで成長したけどな。
それでも、魔物に遭遇したら戦わずに逃げる。
だって戦うと血の匂いにつられて他の魔物がわんさか集まってくるじゃん。
「おっと…三つ目ゲット」
考え事をしながらも次の場所で材料を採取する。
「次は…げっ!マジか」
俺はこの前忘れないうちに…と材料を書いた紙を見て顔をしかめた。
「いろんな意味でめんどくせー…」
独り言を呟き、頭を掻いて四つ目の材料の場所に影移動する。
四つ目の材料はある魔物(昆虫、魔虫とも言う)の部位。
そこまで強くは無いが…
基本的には木の上に生息していて滅多に地面に下りる事が無い。
その生息してる木が、高さ500mはある巨木なんだ。
その上の方って…登るのがめっちゃめんどくさい。
しかも樹上で戦うのも難しいし…罠でも仕掛けてみるかな?
「「「…~…!!」」」
巨木の根に背もたれて虫の捕獲方法を考えてると、どこからか聞き慣れたような声が聞こえてきた。
「うわあぁぁ!!」
「くそっ!なんだこいつは!」
「ぶげっ!?」
声のする方へ興味本位で近づいて行くと、あの世界の人間と思わしき生物が魔物に襲われている。
ん?なんでこんな所に…?まあいいや、んなのに気を取られてないでさっさと材料を集めねば。
「ん…?」
俺はチラッと見て踵を返し、少し歩いた所でなんとなく振り返る。
あれ…?お、ラッキー!お目当ての虫がこんな捕まえやすい所にいるとか!
ふと二度見で人間を襲ってる魔物を見ると、目的の魔物だった。
逃げられる前に倒さないと!
俺はダッシュで人間と魔物の間に割り込み、無名を抜く。
「な…!」
俺はとっさの事に驚いている人間を気にも留めないで複数の魔物を全て斬り裂いた。
そして材料となる部位を拾ってバッグの中に入れていく。
「いやー、あんた危なかったね」
俺は材料を拾いながら呆然としてる男に話しかける。
「はっ!あ、ありがとう…助かった」
「いやいや、あんたの運が良かったんだよ」
相手が目的の魔物じゃなかったら気にしないでその場から去ってたし。
「君は…人間…なのか…?」
「そだよ?それ以外に見える?」
「いや…見えないが…こんな所にも人が…?」
「終わりっと……え、あんた…!」
俺は材料を拾い終わり、助けた?男の方を振り向く。
そして男の顔を見て思わず声を上げてしまった。
「?俺の事を知ってるのか?」
男は不思議そうに自分の顔を指差す。
そりゃ少しは知ってるよ?だって…
冒険者ギルドの前ギルドマスターだし。
つーかもう魔界に来てるのか…まだまだ時期尚早だと思うんだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます