15
魔界に行くための準備?をする事にしたのだ。
別に今すぐ魔界に行ってもいいんだけど…たまには万全の状態で行こうかなー?って。
「さーてと」
「お出かけですか?」
「おう、アノ場所に行ってくるわ」
「…ではお供します」
「え、いいの…?」
俺はメイドの申し出に驚いて聞き返す。
「はい、邪魔が入らないように見張りは必要ですよね?」
「まあ俺はかなりありがたいけどさ…家の事とかはいいの?」
「その他の事は業者にお願いしますので」
心配したように聞くとニッコリ笑顔で返された。
「そっか、じゃあ好意に甘えてお願いしようかな」
「はい、ありがとうございます」
「こっちのセリフなんだけど…あ、じゃあ業者の人にコレでなんか買って差し入れでもしたら?」
俺はポーチの中から札束を取り出してメイドに渡す。
「分かりました、暫しお待ち下さい」
メイドはクルリとスカートを翻して、タッタッタ…と駆け出して行った。
玄関に移動し待つこと5分。
「お待たせしました、では参りましょうか」
「伝えた?」
「はい、これでみんなに伝わると思います」
俺はメイドと一緒にアノ場所に向かって歩き出した。
そして別荘から最短距離を歩く事、一時間。
二つ目の森の一番奥深くにある洞窟に着いた。
ココは森の動物や魔物でさえ寄り付かない。
なぜなら…
この洞窟はかなりヤバイ場所だからだ。
全長は約1km。
見た感じは普通の洞窟。
何がヤバイか、と言うと…
入口から10mほど入った場所から曲がりくねっていて、そこから先は真っ暗闇になっている。
全く光が入らない、自分の手さえ見えないような暗闇の空間。
更には周りの岩は音を吸収する性質を持っており、どんな些細な音さえも聞こえない。
呼吸音や衣擦れの音、自分の発した声すら全く聞こえなくなる。
五感の内の視覚と聴覚が強制的に封じられ、普通の人なら入って10m地点で速攻引き返すような場所だ。
さらに洞窟の壁の至る所に断魔石のかけらが散りばめられており…この洞窟を魔術で壊す事ができないようにしてある。
理由は子供達のお仕置きのため。
とは言え、メイド達の言う事を聞かない子なんていないんだけど。
でも…一人だけ、真ん中の子だけはココに閉じ込められた事がある。
因みに洞窟の入口は改造して、スイッチを押せば入口が塞がる仕組みにした。
当然断魔石のカケラを散りばめている。
この洞窟の中からはたとえ世界最強の賢者だって壊せない。
だって魔術を使おうが壁に当たれば消えるんだから。
そんな所に閉じ込められた真ん中の子の発狂ぶりは凄かった。
なんせ半日閉じ込めただけで性格がガラリと変わるぐらいだし。
なぜ俺がそんな場所に来たかと言うと…
集中するため。
集中力をじっくりとLv6まで上げるにはちょうどいい場所なんだ。
一瞬で跳ね上げる事も出来るけど精神的疲労が…ね。
あんまり疲労しないけど、それでも疲労は避けたい。
だからココで集中して、魔界へGO!ってわけ。
メイドは俺の気を散らすような邪魔が入らないように見張りをしてくれるとの事。
魔物や動物は近寄らないけど、下の子達は分からないだろ?
まあとりあえず時間が無いし…期間は三日ぐらいかな。
「じゃ、頼んだ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
俺が手を上げるとメイドが頭を下げる。
それを合図に俺は洞窟の奥へと進んで行く。
入ってすぐ、後ろでスイッチを押す音が聞こえ洞窟の入口が塞がれた。
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