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身の丈って言ってもリザリー達の方が当然身長は少しだけ高いけどな。
「ほお…重量はあるが使い勝手が良いな…特に振り下ろす時」
「重効樹液を染み込ませてるからな、勢いをつけて下ろせば重力が更に加算される」
つまり、振り上げる時はなんとも無いが…振り下ろす時だけ余計に重力がかかるって事だ。
振り下ろす時の重さが増せば斬れ味も増す。
原種のドラゴンぐらいなら簡単に一刀両断できるはず。
「やっぱりあの剣は名剣だったか…」
「ところで少年は?」
「ん?ああ、今は薪を割ってるはずだ」
「また随分初歩的な基礎練だな」
でも基礎は大事だし…見に行ってみるか。
「くっ!ぬっ!」
少年は研究所の裏の方でコーン、コーンと必死に斧で薪を割っていた。
「お、一発で割れてるなぁ」
腕だけではなく、ちゃんと体全体を使った振り方をしている。
俺もたまには初心にかえって久しぶりにやってみようかな?
「あ!こんにちは、剣の方はどうですか?」
「今しがた終わった所だよ」
「本当ですか!?」
「おう、ちょっと貸して」
少年から斧を借りてそこらの薪を拾って立てる。
「ひょい」
コーン、と音は鳴らずにスッと縦に分かれた。
そのまま4等分にするように十字に薪を斬る。
「まあこんなもんか」
「え?俺の時と振り方が違うのに…音が…鳴らない…?」
俺は今完全に腕の力だけで薪を斬った。
まあ俺ぐらいともなると…ね。
斧の使い方が熟練してるから割る、と言うより斬る、になるんだよね。
斧の重さで割るのではなく、斧の刃先で斬るイメージかな?
「少年もあと10年ぐらい修行すればできるようになるよ」
「凄い…!」
「別に凄くないわよ」
「私たちだって出来るしね」
後ろから見てたリザリー達が少年の呟きに口を挟む。
「あれ?エルーは?」
「ああ…」
あそこ。とリザリーが言いかけた所でズズン!と大きな音が響く。
「遂に斬っちゃったね」
「もしかしてあの木を?」
「今の音は多分ソレね」
音がした方向に行って見るとバカデカイ木が倒れている。
「おいおい…」
「おいテイト、見ろ!遂に斬れたぞ!」
どうやら研究所の隣に植えていた直径3m、全長15mの木をエルーが斬り倒したようだ。
「あーあ、こりゃマスコミが来るな」
「そうだね…今の音で人が集まってくるよ」
「対応はエルーに任せて、私たちは巻き添えにならないように研究所の中に避難しておきましょうか」
森とか街外れならいざ知らず、こんな街中であんなデカイ木を斬り倒そうもんなら…
当然騒ぎになるよね。
マキナが大剣を取り上げ、リザリーが何かを耳打ちする。
それを聞いた瞬間、エルーは急いで研究所の中に入った。
なんかの対策でもたてるつもりなのか?
俺の隣で少年は口半開きで呆然としている。
「どーした少年」
「あ、あああんなデカイ木を一人で斬り倒したんですよ!?」
「そだな」「そうね」「そだね」
少年の言葉に俺達三人の声が矢継ぎ早に重なりかけた。
「驚かないんですか!?」
「「「別に」」」
今度は三人の声が重なる。
「俺が鍛えた剣を使ったんだから当然だろ」
「あれくらいなら私にも出来るわ」
「私もー」
俺らの返事に唖然とする少年。
「そんな事より、休んでる暇は無いんじゃないか?」
「はっ!そうでした…ノルマが!」
少年が研究所の裏に走って行くのを見送って、俺たちは研究所の中に入る。
中ではエルーが何回もどこかに電話していた。
「マスコミ対策か…」
「自業自得ね」
「可哀想だけど…そだね」
チラッと見てスルーしながらその場を離れる。
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