17
「ほい逆」
背中をお湯で流してもらったため、逆向きになる。
今度はマキナ←エルー←リザリー←俺の順で背中を洗う。
「ふへぇ…サッパリしたー」
「気持ち良かったねー」
「今度はみんなで温泉にでも入りたいものだな」
「それは下心ナシの純粋な望み?」
風呂から上がってまたいつもの部屋に戻る。
その途中ですれ違う研究員の何人かに頑張って下さいねー。と言われた。
…?いつもは挨拶ぐらいしかしないのに…なにかあったっけ?
とりあえず部屋に着くと同時に作業を再開させる。
「夢中!夢遊!夢想!夢幻!」
カーン!カーン!カーン!ブクブク…………ザバー!シュリシュリシュリ!
カーン!カーン!カーン!ブクブク…………ザバー!シュリシュリシュリ!
「出来た!」
この剣を鍛え始めて早一週間、やっと終わった。
ふああ…っ…不眠で軽くフラフラするぜ…
一応トイレや風呂に入る時間はちゃんと取ってたよ?ご飯も三回ぐらいは食べたはず。
「ふわぁ…これで煩悩も消えてるといいが…」
108回どころじゃないぐらい…その数十倍は叩いたぞ。
まあ俺の祖国に伝わる除夜の鐘のような言い伝えの効果などあるわけも無いので、いくら叩いても煩悩が消えるわけじゃない。
だが多少なりとも精神的に鍛えられた感はあるかも。
「どうせ今リザリーが来るわけでもないし…少し寝よ…」
「程人君、出来たー?」
たった今寝ようと床に転がるとマキナがドアを開けた。
…確かにリザリーではないけどさ、なんなんだよこいつら…マジでタイミング図ってんじゃねえの?
一応結構な頻度でちょくちょく見に来てるけど…
それでも、いつもいつも完成した直後にタイミング良く見にくるってどうなってんの?
「くあー…完成した」
「大分眠そうだね、うわ…目の下に隈ができてるよ?」
そりゃ一週間も寝てないんだから少しぐらいなら隈もできるだろ。
「アイシャドーみたいだね」
「アレってまぶたじゃねえの?」
「目の下に塗ったりもするよ?」
…良く考えたらこいつらこの可愛さでほぼスッピンなんだよな?
こいつらに限らず、ここにいる女性の研究員は容姿レベルが高いのにみんなほぼスッピンなんだよな?
あーあ、俺もエルーやサマハルト達みたいにイケメンだったらな…
この性格と合わせて女が入れ食い状態だったかもしれんのに。
残念ながら中の上が関の山なんだよな……はぁ…
まあポジティブに考えれば、変装しやすい。と言う長所にもなりうるんだが。
「はぁ…」
「どうしたの?」
「イケメンに産まれたかった…」
「大丈夫、男は顔じゃないよ!」
マキナは気づいてないかもしれんが…それはフォローじゃなくて追い打ちです。
男は顔じゃない。って…遠回しに俺の顔がイケてないと言ってるのと一緒だろ。
俺の場合は性格もアレだし………くっ!こ、コレぐらいじゃ負けない!
頑張れ俺!自己啓発スキルを最大にして無理やりポジティブだー!!
「ほら、程人君は男受けしそうな顔だよ!」
ボキッ!ベキベキ……グシャ。
………俺の心が完膚なきまでに折り砕かれた。
「ええ!?ちょっ…どうしたの?なんで急に膝抱えてるの?」
「……俺はネコじゃない…」
「え?だって平凡受けがノーマルでしょ?」
ワザとか?ワザとなのか…?
ここまで俺を精神的に追い詰める奴なんてリザリー以外では初めてだぞ。
「あ、でも平凡攻め、美形受けってのも良いかも」
「俺が平凡攻め、マキナが美形受けか…?」
「え…私、女だよ…?」
ソッチ系の話か!やっぱりソッチ系か!せっかくノーマルの方向に持っていこうとしたのに…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます