12

ひー、ふー、みー、よー……25人か。



こんな小せぇ事務所に25人もいたんかい。



ま、コレで当分は大丈夫でしょ…



あ!いい事思いついたぜ。



俺は男達が持ってた短剣で複数の死体を刺し、流れ出た血を男の髪に付けて壁に大きく『天誅』と書いた。



もちろん達筆な字で…って言っても字が汚ければそう見えるだけなんだけど。



一仕事終えた俺は血を掬って舐める。



そんで部屋の鍵を全部閉めてバリケードのようにしてからブレーカーを落とす。



後は影移動で公園のトイレに移動してベンチの所にいるであろうリザリーの下へ向かった。



「終わったぜー」


「あら、結構かかったわね」


「まあな~、でもコレで当分は大丈夫じゃないか?」


「本当にありがとうございます!」



リザリーの隣に座っていた女の子が立ち上がってまたしても頭を下げる。



別に頭を下げなくてもいいのに、その胸を揉ましてくれれば…ゲフン!危うく欲望が出るとこだった。



「女の子に夜道は危ないから送っていくわ」


「お前も女の子だろ…」


「あら…じゃあどうするの?」



しまった!余計なことを言わなければ良かった!



そう思った時にはすでに後の祭りである。



「俺も行くのかよ…はぁ」


「えと、すみません…」


「気にするだけ無駄よ」




チャラチャンチャララーン!『女王様』は『傍若無人』の二つ名を手に入れた!



最凶の組み合わせだぜ…『魔女』で『傍若無人』な『女王様』とか。



まあ天上天下唯我独尊で無いだけマシ…かもしれない。



これ以上の称号獲得は遠慮して欲しいですー。



「そういや、なんでこんな夜遅くに来たんだ?」



リザリーと一緒に途中まで女の子を送り、公園に戻る最中にふとした疑問を聞いてみた。



今までは朝や昼頃にしか来なかったのに…



こんな夜遅く…しかも日付が変わりそうな時間に来るなんて初めてだぜ。



「ああ、そうそう忘れてたわ」



はいコレ、とミニバッグから白い封筒を取り出した。



「なんだこれ」


「さあ?気づいたら家のテーブルに置かれてたの」



多分、あなた宛てじゃないかしら…と言われて裏返すと、封筒には『親愛なる人物様へ』と書かれている。



「気づいたら…?」


「ええ、お風呂入る前までは無かったのだけれど…なんの気配もしなかったわ」


「とりあえず見てみるか…」



封筒を開けると中に手紙が一枚だけ入っていた。



「…なんて書いてあるの?」


「『明日の朝、封筒を置いた場所に参ります』…だって」



なんだコレ?どういう意味だ?なんでリザリーの家に?



リザリーが俺に渡す事を見抜いていたのか?



分からん、謎すぎてサッパリ分からん…が。



この『親愛なる人物様』はどこかで……



うーん…人物…?…人に物…?魔物…?…あっ!思い出した!



天界の、女神だ!確か俺の事を人物って呼んでた!



元人間で現魔物、略して人物って!



あっちでは名乗らなかったからなぁ…



にしてもリザリーもよく俺宛てだと分かったもんだ。



「やっぱりあなた宛てなの?」


「おう、なんで分かったんだ?」


「こんな変なのは程人ぐらいしか思い当たらないから」



…それは貶してるんだよな?褒めてないよな?…ちくしょっ!



「明日ねぇ…じゃあ今日はリザリーの家に泊まっていいか?」


「え?別にいいけど………変な事しないでよね///」



リザリーはソッポ向いてボソッと小声で呟く。



なんだこれ!萌え!惚れ!?よく分からんけども!



可愛い過ぎるだろ!マジか、マジかこいつ…なんなの?



声が演技とかじゃなくて素だったんだけど。



「シてもいいけど…///…せ、せめて心の準備が出来るまで、待って…///」



ぐふぅ!!?破壊力ヤベェ!この照れてる感じヤベェ!!いつもはトゲトゲしいこいつがデレた時の破壊力ぱねぇー!!



トゲデレー!!!…なんつって。

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