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「ああ、お礼はいいよ。俺は正義の味方気取りだから」
あくまで気取りだけど…ってかこの女の子、どっかで見たことあるような気がする。
可愛いけど…うーん、初対面のハズだよなぁ?
「正義の味方気取り、ですか?」
「そうそう…だからもう帰って寝な」
「あの…私、ハルサって言います。このお礼はいつか必ず」
「礼は要らないって…そこまでする程だったの?」
なんか痴情のもつれ、見たいな感じではあったけどさ。
「はい!最近…地上げとかで事務所があの人達に嫌がらせを受けてたんです」
「事務所?ってかあいつらヤクザなの?」
「そうです、しかもタチの悪い方でして…嫌がらせの証拠が無いんです」
「ふーん」
話が進むにつれて女の子の顔がドンドン沈んでいく。
「じゃあ潰せばいいじゃない」
「え…?きゃあ!」
いつの間にか女の子の斜め後ろに立っていたリザリーが話に割り込んできた。
「いつからいたんだよ」
全く気づかなかった…ってかなんでこんな夜中一歩手前に来てんの?
「あんたが女の子を助けた時から」
「…助けて下さい、の時?」
「そうよ、ちょうど面白い展開になってたからずっと見てたわ」
マジか、結構前からいんじゃん…気配消してたから気づかなかったのか?それとも寝起き+睡魔のせいか?
「正義の味方気取り…ぷっ」
「面白いだろ?」
「ええ、正義の味方。って言い切れない所がまた」
「…あの…知り合いですか?」
驚いて悲鳴を上げた後に固まっていた女の子が、ようやく話せるまで戻ってきたらしい。
「ええ、こいつの飼い主よ」
「女王様め…否定はしないが、幼馴染で友達だ」
「あら、『数少ない』が抜けてるわ」
「くっ…数少ない友達の中の幼馴染だ」
友達は少ないが、決してボッチでは無い…と思いたい。
「友達…」
「見た目はいいが中身は毒々しいぞ」
「主にあんただけよ」
主に?…ああ、エルー達も含まれてるのか。
「で…話の続きだけど、ヤクザなんて潰しなさいよ」
「あの、どうやってですか?」
「あいつらの事務所の場所を教えて貰えればコイツがなんとかしてくれるわ」
「無責任な丸投げとか止めろよ」
俺に負担、お前に評価↑、で全然釣り合わねぇし。
まあ全員ぶっ殺せばそれで終わりだけどさ。
「本当…ですか?」
「ええ、私が保証する」
「ありがとうございます!」
女の子はぱあっと花咲くような笑顔でリザリーに頭を下げた。
…コレもあいつの話術の成せる技なんだろうなぁ。
初対面の人に、私が保証する。って言われても普通なら疑問に思うのに。
しかも…しかも実行するのは俺なのに、まだ返事すらしてないのに、半強制的に決まってるって言う。
まあそこらへんは正義の味方の辛い所だよね。
…俺は気取りだけど。
その後、事務所の場所を聞いてとりあえずその住所に向かう。
はぁ…なんで俺って便利屋みたいにコキ使われるんだろう…
馬車に乗る事一時間、普通のビルに着いた。
料金を払って馬車を降り、三階のなんとか組と書かれた看板の部屋に入る。
「ちぃーす」
「なんだ…ってお前は!」
あ、さっきのスーツ着た見掛け倒しだ。
って事は当たり?
俺は素早く男の腹を殴って首を捻じった。
ボキッ!という音が響き男は痙攣しながら倒れる。
「なんの音だ…っ…!?」
「どうした?…っ!?」
別のドアから骨の音を聞いた男達がゾロゾロと集まってきた。
はあ…めんどくさいし、さっさと終わらせるか。
俺は男達に近づき殴る、蹴る、投げるを繰り返す。
そして全員を床に倒してまだ生きてる奴の首の骨を踏み折る。
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