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治療…?傷口を凍らせて出血を抑えようってか?
戦いの最中にそんな事をさせると思うか?
「敵が範囲内に侵入…迎げ…っ…!?」
俺はスライディングの要領で機械的な少年?の足を払う。
「そらよ」
そのままうつ伏せの状態になり地面に手をつき、体のバネを活かしてバッと思いっきり手で跳ねるようにして機械的な少年?を両足で蹴っ飛ばした。
「おー、結構飛んだな…じゃあバァイ」
蹲っている青年を斧で袈裟斬り斜めに真っ二つにする。
そして念のため上斜半身?の首を斧で斬った。
「ん?後ろの死角から攻めるのは良いけど…気配を消せよ」
「…!?」
またしても後ろから斬りかかってきた少年?の双剣を斧で受け止め、腹に横蹴りを食らわせる。
「うおっと」
少年?の反対方向から飛んできた複数の氷の槍を剣を抜いて砕く。
俺の右には双剣の少年?で、左には機械的な少年?…つまりは挟み撃ち的なアレだ。
しかも斧で双剣を受け止めてるから氷の魔術は左手の剣でしか防げない。
まあ攻撃は最大の防御とも言うけど。
俺は斧で少年?の双剣を弾きガラ空きの胴に左脚で後ろ回し蹴りを食らわせて、機械的な少年?の所に走る。
「警告、敵が危険なため対処不能!繰り返す、敵が危険なため…!!」
機械的な少年?が魔術を使う前に腹の一点をつま先で蹴り飛ばす。
ツボ押し脚?裏六式麻痺急…だがしくった。
くっそ~、微妙にツボからズレたなぁ。
やっぱり脚で蹴ると繊細さに欠けてしまう。
飛んでゴロゴロと転がった少年?を追いかけてると左側から剣が飛んで来た。
俺は左手の剣で弾き鞘に納めて倒れている少年?の所で止まる。
こんどは安全策と言う事で左で殴る事にするか。
俺はうつ伏せに倒れている少年の背中の一点を殴った。
ツボ押し拳裏六式重麻痺急。
「警告!人体に活動停止の危険性有り!繰り返す、人体に活動停止の危険性…あ…り…」
…良く見たらピアスみたいな所から音声が流れてやがる。
つーことは…少年は口パクだったって事?
喋れなくされて、助けを求めてた…とか?
まさかな、ソレはない…ってかあってほしく無い。
ま、殺してはないし…軍の方に預ければ尋問でもなんでも、とにかく面倒はみてくれるでしょ。
さて…あと一人の少年はどうなってる…か…な…?
機械的な少年?から少し離れて双剣の少年?を探すとジッとこっちを見てた。
何も映してないような死んだ目で、俺を『見ていた』。
「はー…少年?女の子みたいにも見えるけど、君に世界はどう映ってるんだい?」
死んだような目と無表情、まるでマネキンを見てるようだ。
感情を無くしたようなその瞳で、なぜ俺だけを見れる?
どうやってるんだ?ピントの問題か?
俺以外はボヤけてるのか?俺だけを鮮明に捉えてるのか?
「………も…いい…」
「は?」
「どうでもいい」
少年?は双剣を構えると俺に向かって走り出す。
初めて喋ったと思ったら、どうでもいいかよ。
「俺は言われた事をやるだけだ」
「あっそ」
右から振るわれた剣を斧で受け流し腹を蹴る。
が、流石に攻撃パターンが読まれてたのかガードされた。
「D4もナラもいない…俺を抑える者は…いない」
「おっと」
急に少年?の動きにキレが出てきた。
剣を振るう速度も、剣の重さもどんどん増してくる。
まあだからなんだ、って話なんだけど。
他の奴らが来ない所を見ると、どうせもうこいつらで最後っぽいし?
親睦会が終わるまであと何時間かあるし?
アッサリ倒したらつまんないし?
ここは小説的な場面で言えば見せ場的な感じだし?
もうちょっと暇潰しとしてこの少年と遊んであげようかな。
敵に塩を送るみたいなテイで王女みたいに剣術指南的なのをしてあげよう。
この優しい優しい魔物の俺が、ね。
「暇潰しにこの超優しい俺がてめえに剣の使い方を教えてやるよ」
俺は少年?の双剣の猛ラッシュ…と言うにはお粗末すぎる攻めを斧で弾きながらニヤリと笑う。
そういや、敵に塩を送るって小説や漫画の世界でしか見たことねぇな。
まさか実際に俺がやる事になるとは…
さっきまでの俺だったら爆笑してたハズな。
とは言えコイツは絶対に逃がさないけど。
「ほらほら、隙だらけだぞ、手数を増やせば反撃されない。とか考えんなよ」
いくら双剣と言えども右か左のどっちかからしか攻撃できない。
一撃一撃を良く見れば二刀流も一刀流も大差ないんだ、これが。
二刀流の良さはやっぱり『不意の一撃』って所かな。
俺がオカッパを斬り裂いたような感じの。
二刀流で手数を増やす攻めなら隙を無くさないと意味ないし…じゃないと逆に隙が増える。
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