13
「ふあぁ~…朝か…」
朝、最近良く来る公園のいつものベンチで目を覚ました。
「…ちょっと運動でもしようかな…」
ぐっと伸びをして軽くストレッチをする。
体を解した所でちょっとした運動をした。
「あら?やっぱりここにいた」
「お、リザリーじゃねえか、なんか用?」
「今日は王女が来る日でしょ?忘れたら困るからわざわざ迎えに来てあげたのよ」
「あー…忘れてた、ありがとよ…で?お前も一緒にやる?」
俺が聞くとリザリーはそうね…と言って軽いストレッチを始める。
「バックはソコのベンチに置いとけば?」
「当然でしょ…あ、これから港にお出迎えに行くから汗かかない程度にね」
「俺は汗かくのは好きじゃないから、いつも汗かく前には止めてるよ」
「そう」
リザリーと一緒に喋りながら運動する事30分。
「終わりね」
「そだな」
「はい、あんたいつもコレやってるの?」
「ん?ああ、もう日課だし…てか体がなまったら困るだろ?」
渡された飲み物をありがたく貰いながらベンチに座った。
「お前もこれぐらいなら毎日やってんだろ?」
「まあ…もう少しぐらいはやってるわ」
「マジで?俺は30分の二セット…一時間までしかやらないぜ?それ以上は多少なりとも疲れてくるし」
「…運動量は人それぞれでしょ?」
そう言えば…こいつもマキナも結構鍛えてるハズなのに腕や脚は細いし、腹とか割れてたりしないよな?
…なんでだろ?
「そりゃ、色々と頑張ってるからよ」
気になって聞いてみるとそんな答えが返ってきた。
「マッチョな女なんて今時ナイでしょ?」
「そりゃそうだ」
「それとも腹筋割れてる方がいいの?」
「…ん~、できれば遠慮したい…な」
でしょ?と意地悪な笑みで返される。
「でも、あんたは力はあるのに、努力もしないで細いし腹筋は割れてないし……女の敵よ」
「止めろ、俺だってソコは気にしてるんだ」
鍛えても貧弱な身体つきとか最悪なんですけど…
だから一般人と間違われる率が高いんのかね…?
エルーみたいに細マッチョになりてぇな。
「じゃあ行きましょうか」
「そだな」
ベンチから立ち上がってリザリーの後について行く。
「そーいや、馬車で行くのか?」
「いえ…車よ、もうそろそろ到着の時間かしら」
車ねぇ…そりゃ豪勢なことだ。
流石に王族を出迎えるとなると馬車程度ではランクが低いのか?
まあ乗り心地は断然車の方がいいけど…その分料金が高い。
馬車の軽く10倍はするからな…
馬では最高時速90kmだけど、車は250kmまで出るらしい。
当然卓越した操縦技術が必要になる。
街から外に出たら舗装されてる道なんて無いに等しいし。
更に魔物が出る可能性だってあるわけで…
だから小説のように車が一般的になる事は非常に難しい。
舗装されてない道に強い分、馬や馬車の方が主流になってるし。
当然馬車の車輪は衝撃吸収の強化ゴム製だ。
どんなデコボコな道でも車内への衝撃はほぼ皆無、と言う優れもの。
最近では馬の背に乗っている鞍も同じ素材で作ってるらしい。
コレによって乗り手のお尻や太ももへの負担を激減させる、とか。
「アレね」
「マジ?…小説で言うハイヤーってやつか」
リザリーが黒塗りの車の後部座席に乗るのを見て、俺も続いて乗り込む。
そして車に揺られる事2時間、港に着いた。
「多分あの船…ね」
俺が船を探してキョロキョロしてるとコッチに向かってきてる船を見てリザリーがそう呟く。
「アレねぇ…あと10分って所か」
まさか軍事大陸や生産大陸も視察して来たのか…?
一つの大陸を見て回るのに最低二週間はかかる…
商業大陸を見て回る予定だから二週間の護衛…?
いや、流石にそれは無いよな?そんなに動き回られたら面倒くさくてしょうがないぜ。
「来たわ」
「おう…ボンジュールあたりか?」
「それはフランスでしょ」
リザリーが俺の小ボケにツッコむと誰かが船から降りてきた。
「これはこれは、わざわざお出迎えご苦労様です」
30代前半ぐらいのおっさん一歩手前、みたいな男が頭を下げた。
その後に如何にも高そうな服を着た少女が降りてくる。
お、実物は写真で見るより可憐じゃないか。
その後に乗組員みたいのが大勢降りてきた。
「え?二人だけ…?」
「なんだ貴様は」
「お初お目にかかります、王女様。話は聞いてると思いますが…」
「私の護衛の件ですか?では貴女が…?」
王女様はリザリーを見てびっくりしている。
「いえ…私は仲介です、護衛を担当致しますのはこちらの…」
「ふあぁ~…」
リザリーは俺の方に手を向けて紹介したが、眠そうにあくびをする。
「ああ…ご紹介に預かりました、二週間王女様を護衛を担当させていただきます…」
「え…?このどこにでもいそうな村人Bがですか?それはちょっと…」
む・ら・び・と…Bぃ!?
程人は精神的に59800のダメージを受けた。
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