第四期
1
俺が疑問を呟いた瞬間、いきなり背後に男らしき人物が現れた。
速攻で男との距離を取り、剣に手をかける。
「久しぶりだな……この前の俺とは違うぞ?分かるか?悪魔に魂を売ったのだ、今度こそ貴様を殺すためにな!」
男が手を上げると掌に黒いモノが集まっていく。
「暗黒物質…?それを操る悪魔はルシファーだけのハズ」
つーことはルシファーが取り憑いてるのか。
厄介だな、七大魔王の中で一番の実力者だぞ?
ルシファーか……無様に逃げ回っていた苦い過去を思い出すなぁ。
「そう、ダークマターだ!食らえ!」
男は俺の方へダークマターの塊を投げつける。
…圧縮していた所を見ると、爆発か擬似ブラックホールと言った感じか。
いや、それはフェイクでただの目くらましの可能性もある…その場合は背後を取ってからの本命…
「くっそ~…レイスを持ってくるべきだった…」
俺は飛ぶように後ろに下がり雪を掬って固めてダークマターに向かって投げた。
雪の塊とダークマターの塊がぶつかったと思えば爆発が起きる。
爆発は周りの雪を吹き飛ばし視界を悪くした。
俺は雪を投げてすぐに場所を移動して男の動向を見ていた…が男はその場から全く動かない。
動かないどころかなんか苦しんでいた。
「ぐ…!こんな…所で…!悪魔なんぞに…渡してたまるか!!」
どうやら悪魔に精神を乗っとられかけてたようだ。
俺からしたら、ちょーどーでもいーんですけどー…って心境になった。
まあ悪魔に乗っとられかけて気力で持ちこたえるのは凄いと思うよ。
相当な精神力の持ち主じゃないとな。
そこまでしてやりたい事ってなんだ?
「苦しそうだな」
「ふん!貴様を殺せるならコレぐらい甘んじて受けるさ…この化け物が!」
あ…思い出した、こいつ誰?って考えてたけど…今の言い方は間違いない。
俺が魔王軍に入るきっかけになった出来事…
あの時に俺を人間の輪から追い出した張本人だ。
まあつまりは…俺が魔王軍に誘われて、 速攻で返事した元凶。
こいつが居なければ、もしくは今も人間としてどこかの国で過ごしてたかも知れない。
今みたいに戦いに明け暮れるわけでもなく、平凡に、平和に、人間の輪の中で。
まあ今の生活も楽しいから怨んでるわけじゃないが…
それでも思い出したこいつを目の前にすると、多少はイラっとする。
…はぁ、昔の事を引きずるなんて俺もまだまだ子供だな。
紳士たる者、広く大きな懐で何事も受け入れなければいけない…と言うのに。
「あの時は俺に力が無く殺し損ねたが…!今回はそうはいかんぞ!」
「バカかお前、5年前の事をいつまで引きずってんだよ」
俺が魔物になって人間の輪に入れたのは僅か二ヶ月。
以外と短いだろ?まあ目の前のやつの所為なんだけど。
「それにな、あの頃の俺よりも格段に強くなった俺を殺す?寝言は寝て言え」
あれ?なに起きながら寝言を言ってんだよ、の方がよかったかな?
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