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「本当!あるかな!?」
「い、いや…わからな…近いぞ!」
ズイズイとエルーの肩を掴んで寄っていく。
「…!」
エルーがマキナを引っぺがした瞬間、俺は剣を抜きざまに投げた。
「ギュアァ!!」
どこからか現れた魔獣の頭に勢い良く刺さり、断末魔と共に消える。
「魔獣!?」
「そんな…ありえないわ」
「どこから…?」
俺らは一瞬にして警戒態勢を取り学生達の近くに移動した。
今の…エルーを後ろから襲おうとした?いや、それはどうでもいい。
問題は…どこから現れたか、だ。
剣を回収してニーナをリザリーに返す。
「ニーナ、感知できたか?」
『いえ…創造主が攻撃するまで分からなかったわ』
「って事は…」
魔剣のニーナでも存在する魔力を感知できないだと…?
そんな事が…っ…!?まさか…!
「……最悪だ…」
少し考えた結果、俺の頭は最悪の可能性に至った。
「なに?」「なんだ?」「どうしたの?」
俺が苦々しく言葉を呟いたのを聞き取れたのかマキナ達が聞いてくる。
「おそらく、だが…敵は悪魔だ」
「「「悪魔??」」」
三人の声が重なった、ついでに意味不明…と言う感情も重なった?
「しかも結構上の方」
「何故だ?」
「上?」
「立場の話でしょ?」
「ああ、なるほど!」
分かってないマキナにリザリーが教えてあげている。
「魔獣は冥界から召喚されている…現れてるんじゃなく、喚び出されてるんだ」
「?何か違うのか?」
「大分違う…現れてる、は自分の意思だが…喚び出されてる、は自分の意思じゃなく他人の意思だ」
「?つまり…?」
攻撃されるまで魔獣の存在が分からないんだよ!
俺は叫んでからリザリーを押しのけて急に現れた魔獣を斬る。
「な…!」
くそっ!やっぱり俺の考えが当たってたか!
魔獣が攻撃する瞬間にこの世界に喚び出すなんて…
かなり頭がキレる奴じゃなきゃ練れないぜ。
「油断したら死ぬぞ」
しかも緩急つけて油断させようって腹かよ。
「リザリー、魔力を使ってニーナで感知しろ…最小で鋭敏にな」
『ふあぁ…!創造主の敵の対策の練り方はもうホント凄いわ!』
「分かったわ…ニーナ、真剣にね」
『当たり前じゃない!創造主の仰せのままに!』
リザリーはニーナを鞘から抜き、構えると目を瞑る。
「……右」
「私の方?…わっ!本当だ!」
言い方は可愛らしいが、攻撃はえげつない。
魔獣の首が捻じ切れてるし…
「今度は後ろ…」
「俺か」
「と前!」
んじゃ、俺がいくか。
リザリーの前に出てきた魔獣を横一線、真っ二つにする。
「前と左は俺がカバーする、中は若い者に任せるぜ」
あまりの急展開についていけず放心状態に近い学生達の肩を叩く。
「…右、前と左と右、上、後ろ、中、中と後ろ…上」
数回襲っては間を空け、こっちを翻弄させようとしている。
「チッ…仕方ねぇ」
俺はリザリーの肩を軽く叩いて耳打ちをした。
「…本気なの?」
「出来るか?」
『当たり前じゃない!いくら創造主でも主を舐めないで!』
「じゃあ任せたぜ」
俺はエルーやマキナに作戦の概要を説明する。
「イケルのか?」
「さあな」
「成功する確率は高いね、でも…」
「前、やるわ」
リザリーは目の前に出てきた魔獣をニーナで串刺しにした。
「スキャン…………解析完了ね」
「どうやら出来るようだ」
「…俺は別にいいが」
「うーん…まあ程人君がいいなら…」
マキナは渋々折れてエルーと共にリザリーの隣に移動する。
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