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んで天使や神獣は悪魔共と真逆で、人間の善の感情エネルギーを取り込んで生きている。
妖精や精霊は人間以外の動植物の感情エネルギーの集合体が塊になった存在らしい。
「へぇー!初めて聞いた!」
「天使と悪魔が相入れない存在と言われてる所以はエネルギーの質の違いだったのね…」
こいつら俺の胡散臭い説明をあっさりと受け入れやがった。
いや、嘘では無いよ?一応調停者達から実際に聞いた話だから真実だとは思うんだけどさ…
俺の場合は能力について色々教えてくれたから信じれたけど、普通はなかなか難しくない?
「え、信じんの?」
「こんな長ったらしい話が嘘だったら時間の無駄も良いところね」
「話の流れからして嘘では無いと思うし、私達は信じるよ?」
「ありがとう…でいいのか?」
うーむ…こういう時ってどんな反応したらいいんだろうか。
多少なりとも困惑するんだけども。
「着いたわ」
「教員棟?」
「魔獣の足止めの任務に当たって、私達4人だけじゃ難しいから上に相談したの」
内容…そんな回りくどいこと言わないで内容を言えよ、もう大体察しは付いてるけどさ。
…ん?4人…?俺、マキナ、リザリー……あと一人は?
「お、早かったな…ってやっぱりテイトも連れて来られたか」
ちょうど見計らったかの様に教員棟から出てきた見覚えのある人物……エルーだった。
「どうだった?」
「こっちにも上から前もって要請が来てたらしく、準備OKで待機中だと」
「全部で何人?」
「50名、その中の数名はランキング上位者らしい」
「そりゃ頼もしいこって、で?なにで移動すんだよ…皆で仲良く行進か?所定の位置まで数日はかかるぜ」
着く頃には街のいくつか陥落されてると思うよ?と聞くとリザリーがキョトンとした顔をする。
「あんたの便利な能力があるじゃない」
「…は…?」
「あんたの能力使えば一瞬で所定の位置まで移動できるでしょ?その為にわざわざ呼んだのよ」
まさかのアッシー君発言。
…え?そのために危険を冒して魔大陸まで来たのか?
…いや~、まさかなぁ…それは流石に無い…
「何の為に魔王城まであんたを迎えに行ったと思ってたの?」
マジか、こいつマジか…一周どころか二、三周してバカだよ。
「悪いけど…」
「大丈夫、対策は打ってあるから」
俺の発言の先手を打ったように可愛いドヤ顔でマキナが割り込んできた。
「人に見られなければいいんでしょ?ホラ、これ」
マキナがバッグから手榴弾のような物を取り出して渡す。
「スモークとチャフを合体させた物だよ」
「ほぉ…俺の持ってるスタンと合わせれば…って運ぶ時の大人数はどうすんだよ、全員いっぺんに運ぶと怪しまれるぞ」
「そうね…どれぐらいの大きさまでなら移動できる?」
「知らんよ、見たら大体分かるけどな」
俺が影移動できる最大の大きさはベルサイユ宮殿まで。
ただし…ソレをやると二週間はマトモに動けなくなる。
通常通りに動けるようになるまで多分一ヶ月はかかりそうだ。
まだやった事が無いから憶測の話なんだけど。
「横幅30mで縦20mのプレハブならできる?ちょうどあんな感じの」
リザリーが指差した所にあったのは外に階段が付いてる二階建てのプレハブだった。
「アレならまあ…いけんじゃね?」
「そ、予想通りね…じゃあ5分後に移動で」
「は?」
「あ、私達も中に入った方がいいよね?」
意味わからんから聞き返したのに三人はそのままプレハブの中に入って行く。
そして二階に登って行ったエルーが親指を立ててカーテンを閉める。
……くそっ、そういうことか…俺の考えを予想した上で準備をしてたとは。
さすがは幼馴染、やるな。
俺は溜息を吐いてチャフとスモーク合体したグレネードとスタングレネードを持つと、急にリザリーが小瓶を投げてきた。
「危ねっ!」
なんとかキャッチし、睨もうとリザリーの方を見たらもうカーテンが閉められている。
チッ…ん?紙?『私の血を飲める事を光栄に思いなさい』……何様のつもりだよあいつ、女王様か?
星砂を入れるような7cmぐらいの小瓶に1cmぐらい血が入っている。
…少な過ぎて飲む量では無いな。
二つのグレネードのピンを外して爆発させると辺りが眩しい光と煙に包まれる。
素早く血を飲んで…舐めて?プレハブを所定の位置に影移動させた。
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