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うーむ…ちょうどいい場所ではあるけど、魔獣が多くね?
俺が影移動した場所は軍事大陸の一番南側の街の外れ、街からここまでの距離にして約3kmぐらいの地点。
約3km先の魔獣がこちらに向かって来てるのが見える。
かなりの大群だ、数にして4桁オーバーぐらい。
プレハブの窓をコンコンと叩いてリザリー達を呼ぶ。
「え?着いたの?」
「嘘でしょ?………うそ」
リザリーはプレハブから出て、周りを確認して小さく呟いた。
「コレを移動させんの疲れんぜ…フルマラソンを走った後みたいに」
「まさかフルマラソン程度で音を上げるって言うの?体力が落ちた証拠ね」
「わー!いい場所!魔獣の動きも確認出来るね!エルーエルー…!」
雪もチラチラ降ってるからな、白い景色に魔獣の黒は目立つだろ。
マキナは少しはしゃぎながら二階に登って行く。
…子供か。
エルーもビックリしながら下りて来る…ってかお前は二度目だろ、なんで驚いてんだよ。
エルーと一緒に養成学校の在校生…学生達が周りを見て驚きながら出てくる。
出てきた後にあらかじめ聞いていたのか4列に分かれて並び始めた。
「では作戦をもう一度説明するわ…マキナはC班を指揮して真ん中から直線的に。エルーはA班を指揮して右側、私はB班を指揮して左側からお互い回り込む様に攻める」
「あくまで足止めが目的だから無理しないでね。後、少しでもヤバイと感じたら直ぐにこのプレハブに戻ってきてD班の治療を受ける事」
ふむふむ…ABCは12人でDだけ14人か。
「作戦開始時刻はあと5分後の1128だ、作戦終了時刻は3日後の1400とされてるが…伸びる可能性も有り、そしてもし敵を殲滅できたらその時点で作戦終了とする」
おお、三人ともなかなかサマになってるな。
…あれ?俺は?ただのアッシー君だから終わるまでそこいらで遊んでていい、とかか?
「俺は…?」
「あんたは好きになさい」
「好きに…って言われてもなあ…」
「とりあえず邪魔だけはしないで」
こいつ学生の前で俺の心を砕こうとしてる!
なんて危険なやつなんだ……今に始まった事じゃないけどさ。
「つーか、Dって治療班?多過ぎないか?」
「はぁ…あんたにしては珍しく鈍いわね、包囲網をすり抜けた時の保険よ」
ああ、突破された魔物を街に行かせないように最後の防衛線ってワケね。
「治療を行うのは4.5人ぐらいが適当な所かな?まあ防衛と持ち回りで担当してもらうんだけど」
「じゃあ俺は最終防衛線の役割っつー事で街で待ってるわ」
「最もらしい口実で逃げようとするな」
面倒くさいから逃げようとしたらやはりエルーにはバレた。
「一ついいですか?」
「何?」
俺らのやり取りを見てた学生の一人が手を上げる。
「先ほどから気になっていたのですが、なぜ当たり前のように部外者の方がココに?同行者は三人と聞きましたが」
そうだそうだ、と学生達がざわめき出す。
「見た所剣は差しているものの、普通の一般人の方の様ですが…本作戦は世間には機密事項だと言われてるはずです」
んだこいつ…リーダーか?こいつの発言で更に学生達がざわめいたし。
やっぱり俺の事はただの一般人にしか見えないか。
いくら腕が立つといってもまだ学生…青いな。
「ああ…そう言えば補足説明してなかったわね」
「今更だけど…一人増えるから、名前は…」
マキナはチラッと俺の方を見た、本名を言おうかどうか迷ってるようだ。
「面倒くせ…俺の名前は『ジュール』で、テイトはあだ名だからこいつら以外が呼んだら殺す」
俺の言葉に数名の学生が反応して構える。
「あんたね…学生を威嚇してどうすんの?」
「は?殺意も敵意も込めてねぇけど」
「程人君が殺すなんて言ったら分かる人は警戒するよ」
だって常に人を殺してるように全く不自然を感じさせないぐらい、自然に言うんだもん。と耳元で囁いた。
「ま、でもコレでこいつの実力は分かっただろ?まだなにかあるか?」
「いえ…先ほどの無遠慮な質問…失礼しました」
リーダー的な学生が構えを解いて頭を下げる。
「そう?…あ、時間だね」
マキナが先に歩きだしてその後にC班が続く。
…ん?魔獣の大群の方から何かが近づいてくる?
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