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その後リザリーとマキナに当然叱られた。



正座させられてステレオのようにガミガミと二時間も。



いくら異国出身とは言え、二時間の正座はキツい。



せいぜい一時間が限界、だって説教が終わった後も脚が痺れて5分ぐらい動けなかったし。




それからリザリー達の研究に付き合わされた。



なんでも俺の実験結果を元にして、魔物との融合細胞を一時的に人間の細胞と中和させるための抑制剤を作るとか。



それさえ完成すれば融合実験を段階的に行えるらしい。



どうやら融合実験を完璧にするにはまだまだ先になりそうだな。



作業中に、いったいいつになったら世界は俺の技術に追いつくんだ?と調子に乗って軽くボケたのに誰もツッコんでくれなかった。



スベった!つーか事故った?自損事故や!



つーか、こんな中途半端な研究…俺なら即刻破棄するな。



抑制剤で抑えが効かなかったらどうするの?


抑制剤の効果が薄れてきたらどうするの?


段階的…つまり暴走とかして適合率が下がったら分離させんだろ?


また次の奴?そして最初から?



…時間の無駄や。



そんな研究漬けの毎日を送る事6日。



研究漬け…ってか抑制剤は俺が完成させたから、ずっとソレを量産中。



その作業は今の所俺しか出来ないらしい。



やはり感覚…タイミングが重要になってくる作業だからか?



とりあえずグレード…純度10%から純度100%までの品質を分けて量産してる。



純度10~80%までは普通に出来るんだけど、90%以上は偶にしか出来ない。



今は液体だけど…そのまま使うんかな?錠剤にするんかな?



とりあえず頑張って作業してたある日。



冒頭のような状況に陥った…事の発端とでも言えるような事態が発生した。



ユニオン共和国軍事大陸に魔獣が大量発生した、と言うニュースを見てたのが間違いだったのしれない。



いきなりリザリー達がどこかに呼び出され、帰ってくるや否やなんらかの準備をし始める。



そしてこの研究所と近くの研究所(8つ目)で働いている研究員を集めてミーティングをしていた。



…なぜか俺だけ仲間外れで一人虚しく抑制剤を作らされるハメに。



ラジオから流れてるニュースを聞きながら作業してるとミーティングが終わったのか、リザリーがやって来た。



そして理由も目的も知らされないまま連れて来られたのが…ここユニオン兵士養成学校だ。



そして無駄に長ったらしい回想は終了。



おおっと、現実逃避をしている場合じゃない。




つーかいきなり『行くわよ』とか言われても『マジで?』ってしか返せねぇよ。



…なんで卒業生のお前らがこの学校に用があるの?



おいこらマキナ、腕を引っ張るな。



「あれ?そう言えばお前らって卒業できたの?」


「『できたの』?バカにしないで頂戴、卒業試験なんて楽勝だったわ」


「そお?私は結構苦労したけどなぁ…」



あのマキナでさえ苦労したのか…卒業生は全員で何名だったんだ?



「卒業生って何名いた?」


「えーと…友達全員も合わせたら、49名かな」


「マジで?」



俺が死んだ7学年の時でも300名近く残ってたのに…そっから約1/6も減ったんだ。



「ってかそろそろ目的を教えろよ」


「そうね、そろそろ引き返せそうにないかしら」



こいつまたなんか不穏な発言しやがって…また面倒事か?



「国の上の方から私達直々に依頼が来たわ、内容は『軍事大陸を進行中の魔物の大群の足止め』」




おいおい、俺はなにも聞いてないぞ…?



魔王軍だとしたら侵略部隊になんの通達も無しに勝手に侵略を始めるなんておかしい。



魔王様がそんな愚行を許すわけが…あ、魔王は今魔界か。



って事は魔物の可能性は消えたな。



少数だったらまだしも、大群ってのはありえねえ。



魔王軍以外の魔物は結構いるけどまず群れないし。



その理由は目立つから。



後ろ盾も無いのに目立つとか…殺して下さい、と言ってるも同義だろ。



まあ元々群れるのが苦手だから魔王軍に入らないわけだし。



「魔物?魔獣じゃなくてか?」



少し考えて間を空けてから聞く。



「どっちも同じでしょ」


「いやいやいやいや、違うって前言ったじゃん!」



と言うわけで再度説明。



「ああ、思い出した、そう言えば聞いたわね」


「魔界と冥界って違うんだ…」


「冥界は人間の死後に行く場所だろ」



ここで冥界と天界についての少しの説明。



冥界は人間が死んだ後に行き着く世界とされていて、悪魔や魔獣の住む世界。



悪魔は人間の怨念や負の感情…嫉妬や怒り、絶望や虚無、殺意や敵意の集合体の塊が形になった物。



魔獣は負の感情の塊がただ形になっただけ。



そして生きる(存在する…かな?)為には人間の負の感情エネルギーが必要になる。



まあ酸素みたいな物だ。



そして負の感情エネルギーを取り込めば取り込むほど強くなるから、人間を襲ったり陥れたりする。




それが冥界や悪魔、魔獣について俺が今現在分かっている事。



天界は神や天使、神獣や妖精、精霊が住んでいる世界で、死んだ人間が冥界の次に行き着く世界。



一応ココから転生…別の生き物に生まれ変わると言う説があるが、それが本当かどうかは定かではない。



天使や神獣は元々は神が創った存在だと。



天界には色んな神が存在するけど今現在での一番上は…創造神かな?



神々の父ゼウスって奴、実はそんなに偉くなかったっていう。

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