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「ほら行くわよ」
「マジで?」
「マジマジ」
…どうしてこうなった?なぜ俺は今ここにいるのだろうか?
ああ懐かしきユニオン兵士養成学校。
一応説明すると…俺が女の子を預けてから研究所に戻ったのが二週間前。
その間に色々あった。
…本当に面倒事ばっかり。
例えば…
小説を置くために魔王城の部屋に帰ったら、緑衣の天使エコー・アルバトロスに見つかり…魔大陸全土に及ぶ生死を賭けた鬼ごっこを三日間。
逃げながら必死で説得してなんとか生き残れた…と思いきやその四日後、魔大陸にリザリーとマキナ来襲。
聞いた話では、魔大陸の魔物共を俺の名前を叫びながらちぎっては投げちぎっては投げ…だったそうだ。
だが魔大陸はかなり広い。
端っこの港?から真ん中の魔王城までは馬車でも一週間ぐらいかかる。
昔は幻のムー大陸と言われてたぐらいだからな。
その広い大陸で恐ろしい事にリザリー達の噂?知らせ?はその日に魔王城まで届いた。
長赤髪の人間と茶髪の人間がたった二人で進軍してきてる…と。
しかも『程人を呼びなさい!』と叫びながら。
それを耳にした瞬間、俺は部屋を飛び出した。
運良く部屋を出た所で飛空部隊で副隊長のワイバーンさん(最初に魔王城に運んでくれた)と遭遇、なぜか現場まで運んでくれたっていう。
因みに…上空700mで時速約200kmはなかなかに風が強いよ。
んで現場に着くと魔物のおびただしい数の死屍累々…
いや、殺さずにただ気絶させただけらしいから死屍じゃないか。
つーか『しし』って読みづらくね?『るいるい』って元々累累だろ?
まあ漢字の略式とかはどーでもいいか。
ともかく!そんなこんなでユニオン共和国に行く事に。
そんなこんなってのは例の如くリザリーのアレね。
今回はマキナも一枚噛んでたけど。
そこで優しい優しいワイバーンさんがユニオン国まで送ってくれた。
この人…人?物?この物かなりナイスガイ!良い魔物すぎてヤバイ!クールなのにカッコよすぎでしょ!
つーわけでリザリー、マキナ、俺を背に上空約1000mまで上がり時速約260kmぐらいで疾翔。
しっしょうってのは俺が造った造語ね。
かなり速く翔けるって意味。
ワイバーンさんの最高速度は時速500km弱らしい。
飛空部隊総隊長の最高速度は1000km弱、つまりはマッハ1。
かなりの化け物だ。
どおりで飛行機械の技術が衰退するわけだよ。
昔は戦闘機やらヘリコプターやら飛空船やらジェット機やらが開発されてたらしいけど…
空で魔物にヤられたら破片が地上に降り注ぐ、と言う点から実用化はしなかった。
今ある飛行機械は小型ジェット機や戦闘機、飛空船ぐらい。
あると言っても飛べる期間は魔物が最も冬眠する時期の僅かな期間だけ。
一年の内でフライトできるのは二週間ぐらいだって。
まあ海と違って空は危ないよね。
逆に海は超安全。
テリトリーを荒らさない限り魔物に襲われる事は無い。
テリトリーは海の中にしか無いし、海の魔物共は決まったテリトリー外には滅多に出ないんだと。
だから漁師はテリトリーを避けるためにブイを浮かべてる。
船も念の為ソレを避けて航海してるから、もしかしたら海の移動は一番安全かもしれん。
なんせエサは海の中にいっぱいあるから無理して海上に出る意味がないし。
例外で言えば、オルトロスとクラーケン、リヴァイアサンとか一部の魔物かな?
っと…いつものように話がズレた、ので戻すとしよう。
そんなこんなでユニオン国の研究所がある街の外れの所で…上空1000mからのスカイダイビング。
しかもパラシュート無し。
二人の脇の下に手を滑り込ませて、俺の両脇に抱えるようにワイバーンさんの背から飛んだ。
久しぶりにリザリーの本気な悲鳴を聞いた気がする。
マキナもリザリーに負けないぐらいの悲鳴…もはや絶叫?
…仕方ないか、目も開けづらく息も吸いづらい状況からのいきなりのダイブだもんな。
俺は慣れてるから目も開けてられるし、息も吸える。
ほら、水の中とか絶叫マシンと似たようなもんさ。
とにかく…完全にパニックになってる二人をなんとか少し落ち着かせ、三人共無傷で着地した。
方法は簡単。
マキナとリザリーには地面が近くなってきたら俺を踏み台にして受け身を取ってもらい、俺はそのまま受け身を取った。
リザリー達は俺を踏み台にしたから簡単に受け身を取れただろうけど…俺はかなりヤバかった…
寸分の狂いも許されない刹那分の1のタイミングでのパーフェクトな受け身。
まあ失敗しても漫画みたいに地面に人型の穴が空くだけで死にはしないんだけどね。
なんとなくチャレンジしてみたかった。
…思い描いた通り完璧なまでに成功した事でかなりびっくりした事を覚えてる。
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