30
あっれ~?おっかしいなぁ…でも感覚は覚えた!次だ。
気絶している女の子を抱えて今度はエルーのいるであろう西側へと走る。
「があぁぁ!!」
「ヤメろ!俺は戦いたく無いんだ!」
エルーを発見すると攻める気配が無く、防戦一方だった。
あやぁ…もしかしてアレが元人間って知っちゃったパターン?
女の子を地面に下ろして剣を抜く。
素早く移動して敵の死角に入り背中をぶっ刺し剣を貫通させた。
「グっ…!?」
「テイト…!?」
あれ?思ったより硬くないな…コレなら普通に刺せるレベルじゃん。
敵の両腕と両脚を剣で数回刺して貫通させ地面に倒す。
「お前…!!」
「言いたい事は分かる、後で説明してやるから今は研究所に戻れ」
「だが!」
「俺とリザリーが加勢に来てるとは言え…残り二体もいる」
エルーは納得のいかない顔で渋々研究所の方面に走って行く。
うし!残り時間も少ねえし…さっさとやるか。
俺はさっきの失敗を元にして実験に臨んだ。
…が、失敗した。
なんでだくそっ!遺伝子が…細胞が合わない!!
無理矢理合わせてるワケじゃないのに…!なぜ反発し合うんだ?
くそ!天才たる俺なら直ぐに成功すると思ったのに…
いや、失敗はしたが少しづつ成功に近づいている。
次だ次ぃ!まだモルモットは二体も残っているんだ、もし俺が本当に天才ならば…二体あれば実験を完成させられるはず。
女の子を再度担ぎ上げ研究所の方へ走った。
「があ!」
「うおっと」
走ってる最中に上から敵が攻撃してきた。
それを軽く避けて敵との距離を取る。
ラッキー、まだ手付かずのモルモットがいたとか。
こいつなら特に怪しまれずに実験できるな。
さっさと倒して実験に移らないとリザリー達がきてしまう。
俺は剣を抜いて敵に攻めかかった。
ガキン!ガキン!と言う音が辺りに響きわたる。
くっそー…時間が無いのに~、こいつさっきの女の子程では無いにしても頑丈な皮膚をしてやがんな。
剣の刃が食い込まねぇ…仕方ない、斬る事は諦めよう。
敵の両腕を思いっきり弾いて胴の部分をガラ空きにさせる。
ガラ空きになった胴の胸の辺りの一点を剣の柄で思いっきり叩いた。
ツボ押し剣裏六式昏倒急。
この硬い皮膚を素手で殴ると絶対に複雑or粉砕骨折するって。
膝から崩れ落ちるように倒れた敵の近くに寄ると、地面に手を着いて起き上がろうとしてる。
……浅かったのか?それとも失敗したのか?まあいいや。
ツボ押し剣裏六式昏急。
背中から見て心臓の裏側を柄で思いっきり叩く。
流石にコレで意識保ってたらヤバイって…昏倒急よりも威力高いツボだしね。
ビクビクと痙攣してる敵を反転させ仰向けにして口の中に剣を突き刺した。
…実験開始だ、今度は成功させる。
…結果から言うとまた失敗した。
だがコレで大体分かったぞ。
今回は隅から隅まで余す所なく、なぜ失敗するかを見たからな。
まあ次の実験のためにこいつはワザと失敗させた。
どうせ捕まってもロクな事がないじゃん?じゃあ今の内に死んでた方が楽じゃね?つーわけ。
融合や結合し切れないと身体が崩れ落ちるなぁ…最初のは灰でさっきのは液体状になって、こいつは砂状か。
取り込むまでは上手く行ったんだけど、その後…結合って言うか融合しない。
水と油を混ぜた後みたいに直ぐに分離してしまう。
うーん…やっぱり意思の強さか?
失敗する原因を考えたら実験体の意思があるか否かなんだよなぁ。
女の子は強い意思で受け入れて、残りの三体は無意識…意思が無い状態だったから受け入れなかったのか?
やっぱり無理矢理遺伝子融合させるのは無理か…細胞結合ならある程度までいけるんだけど。
でも『ある程度』止まりだからなぁ。
「あら?程人じゃない」
「ん?リザリーか」
俺が失敗して液体になった実験体の一部を集めてると後ろから声をかけられた。
「一匹は捕獲したわ、そっちはどう?」
「ちょっとな…色々と説明する事があるからマキナ達を研究所に集めてくれないか?」
「まさか…逃がしたの?」
リザリーが己の武器である鞭を構える。
「違ぇ、死んだんだよ」
ありゃ俺が殺したわけじゃないよな、魔物の遺伝子に殺された感じだし。
そうなった原因は俺にあるけど…割合で言えば2割ぐらいだろ。
技術の進歩のために犠牲は止む無しってな。
「分かったわ。10分後に会議室ね」
「おう」
リザリーが踵を返して去るのを見て俺は未だに気を失っている女の子を担ぎ上げた。
そして10分後。
研究所の会議室にいつもの面々+気絶してる女の子が揃う。
「んじゃ、報告するぜ」
俺は座ったままポーチからビンを三つ取り出してテーブルの上に置いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます