22
そして10分後。
厳つくてゴツイ傭兵的な者がひぃ、ふぅ、みぃ…20名に高級そうな服を着た偉そうなおっさんが出てきた。
その後ろでは黒服のねーちゃん達が人魚の入った水槽と俺の愛槍が入った箱を運んでいる。
「ふむ…貴様が優勝者か、えーと名は何て言ったかな?…道化師のピエロ?変わった名だ」
偉そうなおっさんが黒服のねーちゃんから渡された紙を見て顔をしかめた。
「では賞品の譲渡を…と思ったが、気が変わった」
『は?そんな展開聞いてな…ん?コレ?新しい進行書?…マジ?うん、うん、わかった』
おいコラ実況、拡声器ぐらい切れよ…丸聞こえだぞ。
「貴様の事を調べたがどうにも情報が無くてな…連れの女の子を調べさせてもらったら興味深い事が分かった」
ん?なんだこの展開…もしかして賞品はやらないぞ。ってオチか?
まさか、な…あんまりふざけてるとマジで殺すぞ?
「おい」
偉そうなおっさんが指を鳴らすと黒服のにーちゃんがクレインを連れてきた。
「どうやらこのモルモットの子供らしいな、他国で多数の目撃情報が出ている」
「もしかして人質とか言う?」
あ、ヤバイ…
ヤバイヤバイヤバイ。
どうしよ…これヤバイやつだ。
なんとかうまくやれる方法は無いかな?
やっぱ無理かな?どうしたもんかね~。
俺、かなりマジな話でブチ切れそうなんだけど。
もうメーターで言えば95/100だぜ?
あと一歩でブチ切れだよ?
クレインとその母親以外の人、多分全員八つ裂きにしそう。
女だろうが子供だろうが関係なしに。
「なあ」
「なんだ?命乞いか?やはり最終戦を勝ち抜いた後にこの人数は無理だろう?」
「今すぐ黙れ、殺すぞ」
偉そうなおっさんの余裕そうな表情と口調に危うくキレる所だったが、なんとか耐えた。
やはり俺のこの強靭な忍耐力は半端じゃねえな…日頃から鍛えられてるだけはあるぜ。
前までの俺だったらもうとっくに周りは血の海だろうし。
だけど、俺から発された声はかなり低く殺意のこもったドスの聞いた声になっていた。
…あっれ~?おかしいな~?
偉そうなおっさんは冷や汗をかきながら数歩後ろに下がる。
「…!お前達!なにボーッとしている!さっさとやれ!」
冷や汗をハンカチで拭いながら厳つくゴツイ奴らに怒鳴った。
は?みたいな顔をしてそれが命令だと言う事に気がついたのか各々武器を取り出し始める。
よし!気を鎮めろ俺!冷静になれ…いくら敵の手に落ちたグルニレイスが目の前にあるからって……いつものように飄々とせねば…!
落ち着け…落ち着け…落ち着け…落ち着け…
呪文のように心で唱えながら軽く深呼吸する。
よし!少しは落ち着いたぞ、とりあえず優先順位の確認だ。
1.クレインを助ける
2.敵を蹴散らす
3.おっさんを殺す
いや、待てよ…おっさんを生かして愛槍泥棒の情報を聞こう。
敵を蹴散らすよりもクレインのお母さんと愛槍を取り戻すのが先か。
1.クレインを助ける
2.クレインのお母さんの次に愛槍の奪取
3.敵を蹴散らす
4.おっさんを拘束
厳つくゴツイ集団が武器を取り出して俺を囲むより少し早く行動に移す。
クレインの元へ素早く距離を詰め、黒服のにーちゃんの腹を殴る。
そしてクレインをお姫様抱っこしてクレインの母親の元へダッシュ。
…って言っても距離で言えば10mも離れて無いんだけど。
クレインを地面に置いて黒服のねーちゃんをお姫様抱っこして愛槍の元へダッシュ。
なにがなんだか分からずにパニくってるねーちゃんをあと一人の黒服のねーちゃんの隣の地面に置いて、愛槍が入ってる箱を持ち上げてまたクレインの元へダッシュ。
時間にして30秒もかからない仕事の早さ。
「な、何をしておる!やれぇ!!」
俺の素早い動きを見たおっさんが怒ったかのように怒鳴る。
ふぅ…仕方ない、遊んで殺るか。
怒号を聞いた集団が俺の所へ攻めてきた。
愛槍の箱をクレインとその母親の間に置いて集団へダッシュで向かう。
姿勢を低くしながらダッシュで距離を詰め、勢いを殺さずに剣を抜いて先頭の奴の首を斬り、返す形で二番目、三番目と首を狙って掻っ斬る。
ゴツイ奴らの一人も攻撃する間も無く、俺とすれ違う頃には約半数が地に伏せた。
俺はすかさずスライディングみたいに足を滑らしながらターンして約半数となった集団を後ろから襲う。
そして僅か一分も満たない時間で厳つくゴツイ20人の集団は地面に伏せ息絶えた。
まあユニオン兵士養成学校経験者からしたらあんな奴らも一般人と大差無し。
まだ人間時の本気の半分ぐらいしか出してねぇのに。
うーん…くぐり抜けた修羅場や死線の次元が違うか。
あんなんだったら100人いても1000人いても3分とか30分で楽勝だよな。
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