26

「リザリー…手伝ってよぉー…」



どこからともなくマキナの情けない声が聞こえてくる。



どうやらあっちはあっちで忙しいらしいな。



「仕方ないわね…あんたは適当に休憩してなさい」


「うーい」


「暇なら私たちに夕食でも作るといいわ」


「…休憩と暇って違うよな?」



俺の呟きを無視してリザリーはマキナの元へと歩いていく。



「仕方ない…適当になんか作るか」



俺は起き上がるとキッチン的な所へ行き冷蔵庫を漁った。



「あ~…炒めて煮込むか」



適当に食材を取り、水で洗うと皮を剥く。



そしてまな板の上に置いて包丁で切る。



その間わずか三分。



切った食材を油で炒め少し味を付けて鍋にぶち込んだ。



水を足して味を整え何とかの素を溶かしながら入れて蓋をする。



後はとろ火にして放置。



俺は作り終わるとテーブルの下のカーペットに寝ころんだ。



「眠ぃ~…」


「ふわ~、美味しそうな匂いだね」



テーブルの下でゴロゴロと転がっているとマキナが歩いてきた。



「シチュー?」


「知らん、肉と野菜とナニを炒めて煮込んだ」


「ナニって何…?」



マキナは怪訝そうに聞き返してくる。



「食べ物、名前は知らん」


「なんだ、危ない物かと思ったよ~」



冷蔵庫の中の飲み物を取り出してホッとした声を出す。



「後もう少しで終わるからそしたら夕食だね」


「焦げてなかったらな」


「焦がさないでよ」



ちょっとキツめに言われてしまった。



「頑張ってくるね」


「おう」



俺は目を閉じゴロゴロしたまま返事を返す。




マキナが研究室?に戻って数分後、研究所のインターホンが鳴る。



「程人君、お願いー!」


「…人使いが荒過ぎるぜ」



マキナにお願いされたため渋々のそのそと研究所の入り口らしき所へ向かう。



「はいはーい…どちら様ですか。っと…」


「なっ!?」


「え?」


「ちょっ…!!」



俺はドアを開けて来客者の顔を見た瞬間、ドアを速攻で閉めた。



そして鍵もかける。



「誰?」


「セールスマン?」


「なんで疑問系なのよ」



ドンドンとドアを叩く音を聞いてリザリーがやって来た。



ドアを叩く音と一緒に開けろ!とかなんでお前が!?とか言う声が微かに聞こえる。



「そろそろうるさいし開けたら?」


「パス」


「なんでよ」



俺を無理やり退かしてドアを開けようと鍵を外す。



俺は退かされてすぐに研究所の奥へダッシュする。




ヤバイヤバイ!



どっか隠れる所は無いか!?




そう言えばあそこなら大丈夫だろう。






ったくよ、なんでエルーがこんな所に来てんだよ!




よりにもよってリザリーの姪っ子を連れて!

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