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「久しぶりだなー」



俺は今ユニオンに入国した。



目的は小説の新刊を買うため。



俺の両足が治り、傷が全快したらアルバトロスに頼まれてしまった。



とはいえもう三日も前の事だが。



小説なんて近隣の諸国でも買えるんだけど…



俺が持ってる小説のほとんどは販売元がユニオンであり、発売が他の国より半年も早い。



つまり…続刊が多く買えるのだ。



ユニオンの商業大陸に最後に来たのはいつだっただろうか?



二年前かな?



まあ俺の言うユニオンとは『ユニオン共和国商業大陸』の事だけど。



『生産大陸』や『軍事大陸』は魔物になってからはあまり行ってない。



だって生産大陸は行く用事とかあんまり無いし、軍事大陸は行く用事が無いっつーか…寒いんだよね。



元々ロシア連邦って雪国があった場所らしいし。



生産大陸は元ヨーロッパだっけ?があった場所だから気候は穏やかなんだよなー。



ちなみに今いる所は元アメリカ合衆国とか言う国だったらしい。



色んな国が吸収合併した結果に生まれた国『ユニオン共和国』



俺が育った国…なんかしみじみとしてきた。



「…とりあえず書籍区域に行くか」



俺は空港を出て駅へと向かった。




駅から電車に乗り、揺られる事二時間。



書籍地域に着いた。




おー、相も変わらず本屋だけの街だなー。



『ユニオン共和国商業大陸』は色んな地域に別れている。



飲食店だけの街『飲食地域』

本屋だけの街『書籍地域』

電気店だけの街『家電地域』

家具店だけの街『家具地域』

文具から日用品、消耗品を扱う店だけの街『雑貨地域』

マニア向けの店だけの街『???地域』

(色んな呼び名がある)



雑貨地域が一番広く、マニア地域が一番狭い。



その他はだいたい同じぐらいの大きさと広さ。



ユニオン共和国は全てが世界一の国。



まあ色んな国が混ざり合ってるから当然といえば当然なんだけどね。



ユニオンには世界中の物が集まるそうだ。



ただし俺の生まれ故郷である神秘の国である異国の物を除いて、だけど。



あの国は排他的だからねー、手にいれるのは難しいんじゃないかな?



と言うわけで。



この書籍地域には世界中の本が売られている。



街全体が本屋だから探すのも大変だ。



全部回るのに最低でも一週間はかかる。



でも俺は人間の時から行きつけの本屋があるから回る必要はない。



今日中にはユニオンから出て行くとして…



魔王城に着くのは早くて明日の夕方ぐらいか。



何も無ければ、だけどね。



…何かおこる前にさっさと買って帰ろう。



駅から歩く事三時間…行きつけの本屋に着いた。



大きいわけでもなく小さいわけでもない、普通の本屋。



中に入ると客は疎らだった。



真昼間だっていうのに数人しか客がいない。



俺はその客の少なさに目をつけたからこの本屋に良く通ってたんだけど。



夕方になると人がいっぱい入ってくるから昼間以外は来ない。



落ち着いて本を物色する事が出来んからな。



俺は目当ての本を探すべく本棚を見て回った。



本屋には『古本しか置いてない店』

『新品の本しか置いてない店』

『新品と古本両方置いてある店』

の三通りある。



俺が今いる本屋は『新品の本しか置いてない店』だ。




「ラノベ…はあっちか」




漫画や雑誌、教科書なども置いてあるため目当ての小説を探すのに時間がかかる。



店内をうろちょろする事約10分。



ようやく目当ての本が置いてある棚にたどり着いた。



おお!『モノ気』が5巻まで出てる!


『SHR』も6巻か…!即買いだな。



俺は近くにあった買い物カゴを取り『モノ気』や『SHR』を含め数十冊の小説をカゴに入れた。



そして会計を済ませて店から出る。



早く帰って続きを読むとするか。



あ、そういえばアレ以来部下共と会ってねぇな。



全員魔王城に帰ってきてる、って話は聞いたから戻ってから顔でも出してみるか。



俺は店から出て足早に駅へと向かった。
















































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