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だけど…これだけは俺も譲れないんだよね。



アルバトロスが諦めるまで、折れるまで何時間粘られても断るし。



残念ながら、俺の能力は軽々しく他の人には見せないって決心したんだよ。



「どうしてもだめ?」


「う…だめ」



押すだけじゃ無理だと思ったのか、目を潤ませてきた。



ちょっとだけ決心がぐらっと揺れてしまう。



「お願い…だめ…?」


「いい…うぬぬ…だめ!絶対に嫌だ!」



目を潤ませる+上目遣い+小首を傾げる。



凄い破壊力だ!なんせモデル並みの美人だぞ!?



そんなんされたらやばいだろ!



危うくだ…危うくいいよ。って言うところだった。



それでも断った俺の決心は本物かもしれない…!



「絶対…?」


「絶対」


「そう…」



アルバトロスはうなだれてため息を吐いた。



ようやく諦めてくれたか…



「じゃあ、見せてくれたら私の身体…好きにしていいよ?…って言ってもダメ?」

「いいよ」



全然諦めてくれなかった。



と言うか、とうとう最後の手段に打って出たようだ。



もちろん即答しましたよ?なにか?



決心…?ふざけんな!!



あのエコー・アルバトロスの身体を好きにできるんだぞ!?



好きにするためなら決心だろうがプライドだろうが喜んでドブに捨てるわ!



最低と呼ばれようが、クズだと蔑まれようがそんなの関係ないね!!



あの服の上からでも分かる最高のスタイル…



細身ながらも肉付きの良い身体…



細長く色っぽい脚…最高じゃねえか!



はっ!変態だって?




…男なんてみんな変態なんだよ!!



結局は女のあんな所やそんな所しか見てないんだよ!!








…興奮しすぎてキャラが変わってしまった。



反省しなければ。



「本当に!?」


「ん、こっちこそ本当にいいの?」


「うん、私の身体…好きにしていいよ////」



モジモジと照れた顔ではにかんだ笑顔を見せた彼女。



エコー・アルバトロスは実は天使なのかもしれない。



もし俺が人間だったならば100%の確率でこのアルバトロスに惚れていたかもしれない。



…人間じゃなくて良かった。



ついでに息子を再生させていないのは幸いだったかもしれない。



なぜなら、絶対に息子が元気になっていたであろう光景だからだ。



確実に襲いかかって返り討ちにあっていた事を思うと…



うん、不幸中の幸い?



意味が当たってるかは分からんが俺の語彙力じゃこれが精一杯だ。



「ねえ…早く見せて?」



モジモジと俺の布団を捲るアルバトロス。



俺の下半身が無いのを知らない奴が見たら十中八九怪しいシーンを想像するだろう。




これから赤色の雰囲気になるであろう事を考えればピンク色の雰囲気では無い事は確かだと思う。



「じゃあ少し離れて」


「分かった」



俺は了承した事を軽く後悔しながらアルバトロスをベットから少し離した。



「ぐ…!」


「ふおー」



そして下半身の再生作業を始める。



「が…ぁ…!」


「なるほど」



なん…だ…!さっきより…キツ…!ぐ…!



ま、さか…栄養が…足りな…!?



「がはっ…!はあー!はあー!」


「は~…そういう方法が…」



俺は口から少し血を吐き出して盛大に息を吸った。



下半身を見ると両脚の太ももまでは回復している。



どうやら栄養が足りないため、この方法ではここまでしか回復しないようだ。



「凄かった…私の身体を差し出しても見る価値はあったよ!」


「そ…よかった…ね」



アルバトロスはキラキラと顔を輝かして俺を見つめている。



それとは正反対に俺は力尽きたようにベットに体を預けていた。



「ふむふむ…あの方法で…この方法が…」



アルバトロスはどこから取り出したのかメモを持っていて何かを書き込んでいる。



「この方法と…あれで…これが………よし!出来た!」



ノートを閉じて何処かに仕舞う。



え…?良く見えなかったけどどこにしまったの…?



俺はアルバトロスの行動に疑問に思ったがそれ以上は考えないようにした。



と言うか体が怠くて考える気が起きない。



やはり栄養が足りないと疲労感と倦怠感が全身を支配する。



「程人君のおかげで私の治癒スキルがアップしたような気がする」


「…良かったね」


「今ならその両脚を治してあげられそう」


「そっか…」



俺はもうあいづちを打つことや返事をする事さえ億劫になっている。



「そのままジッとしててね」



アルバトロスが仰向けの俺をひっくり返してうつ伏せの状態にしたがもはや抵抗する元気も無く…されるがままだ。



そして俺はうつ伏せの状態のまま眠りについた。

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