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「う…」
ん…?どこだここ…?なんで俺…?
俺はいつの間にか意識を失っていたらしく目が覚めると真っ白い部屋らしき場所にいた。
頭が痛い、という事はない。
意識はあまりはっきりしないが拘束されてる、という事もない。
いったい何があったのか?この状況は俺にはさっぱり理解出来ない。
えーと…最後の記憶、最後の記憶…
…
……
………
ユニオン共和国に行って、行きつけの本屋に行って、大量の小説を買って、駅に早足で向かった。
で、この状況?
うーん…だめだ、何があったのかさっぱりわからん。
拉致られた…ぽいではあるけど拘束はされてないしな。
もしかして日射病で倒れたのか?
いや、めまいや吐き気とかは無かった。
つーか第一そんな事で倒れるほどヤワじゃないしな。
今も昔も。
さーて、どうしたもんかな~。
…あれ?
俺は寝返り的な感じで体を反転させようとして異変に気づいた。
体が…動かない。
感覚はある、動かそうとも出来る。
なのに意思とは反して体は動かない。
「うぬぬ…!」
気合いを入れて全力で体を動かそうとする。
そしてなんとか反転して仰向けの状態からうつ伏せの状態まで持って来れた。
「つ…疲れた…」
うつ伏せの状態になれたはいいが体力の消耗が半端じゃない。
どうやら少し動くだけでものすごい体力を消費するらしい。
まるで限界を超えるまでひたすら運動した後みたいな。
そんな感じ。
もしかしたら拘束はしないのではなく必要無い、なのかもしれない。
とりあえずここがどこか、今は何時か?を調べる必要があるみたいだ。
「よし!」
俺は再度気合いを入れて立ち上がった。
かあー!立つだけでも疲れるぜこんちくしょー!!
「あ~」
なんか少しずつ今の状態に慣れてきたかも。
一歩ずつ時間をかけて前へ進む。
あたり一面白い壁しか見えないなー、おい。
ま、どっかに入り口があるっしょ。
「あきれた…」
「!?」
俺の斜め後ろから突然声が聞こえてきた。
驚いて振り向くとそこには美人が。
片手を腰に手を当てて、もう片方の手で顔を覆っていた。
手で顔を覆っていても分かるぐらいの美人。
どこかで見たような顔ではあるが、美人なんてみんなそんなもんだろうと勝手に結論付ける。
「あんた良く動けるわね」
「ん…?」
美人の容姿にあった少し高めでなんか凛としたような声。
エコー・アルバトロスのようなふんわりと可愛いらしい声ではない。
なんかトゲトゲしく、かるく威圧感が含まれているような声だ。
…そしてどこかで聞いた事あるような、ふと何かを思い出すような声だった。
「へい、彼女、何処かで…」
「喋るな」
「が…!?」
俺と10mは離れていたはずの美人さんが素早い動きで距離を詰めボディブローを決めた。
俺との距離を詰めたのは一般人からしたら一瞬の出来事だろうな。
今の俺が避けれるわけがない。
この美人さん、見た目に反してものすごいバネをしている。
「な…ナイスボディ…ぐ…!?」
「喋るな、と言っただろ…大人しくしろ」
美人さんは俺の腹に拳を減り込ませた状態から更に力を入れ、拳を振り抜き俺を壁に叩きつけた。
壁にビシビシ…!って亀裂が入ったのは気のせいだと思いたい。
俺は重力に逆らえずにドサッ…と地面に落ちた。
うつ伏せの状態からなんとか立ち上がろうと右手に力を入れる。
「はぁ…」
美人さんは悩ましげなため息と共に俺の右手を踏んだ。
ぐしゃ!と音が鳴り右手に少しの痛みが走る。
…踏み潰した…よね?確実に踏み潰してるよね?
「!?」
俺が『踏み潰された』右手を見てると今度は頭を踏まれた。
しかも横向きに、こめかみを。
視界の端に薄水色のパンツが見えた。
つまり…左足で俺の右手を踏み潰して右足で俺の頭を踏んでいる状態だ。
この美人さんすごいボディバランスしてるよ。
普通だったら多少なりともぐらつくのに…こんな足場でも体幹がしっかりしてる。
うん、踏む足にどんどん力を込めてるような気がする。
「…そろそろ痛いんだけど」
「はあ…ホント学習能力がないです…ね!」
「がぁ…!?」
美人さんに頭を力一杯踏みつけられた。
一応ヒール的な履物のかかとの部分で。
こめかみを、思いっきり。
…これってなんて言うプレイ?ハードSM?
ハード過ぎるわ!
俺、やるなら攻める方で受ける方じゃないのに…
普通だったら頭潰れて脳みそパーン!だよ。
めだかボ○クスの球○川禊みたいに。
まあ球磨○禊は生き返るからいいよね、俺は死んだらおしまいなんだけど。
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