第8話 たった一つの冴えたやり方
私は冴木 梓なんだろうか?
顔は一緒だ。声も、しぐさも、脳みそも。
それならば、私は冴木 梓だと言えるんだろうか?
わからない。
彼は私を冴木と呼んだ。
私に梓を重ねた。
私はそれに応えてしまった。
私が梓のように振舞い出してから、もう何日か経つ。
このままじゃ、だめだ。
このままじゃ、彼は壊れてしまう。
私を梓と思い込んで、本当の梓を見れなくなる。
そうしていつか壊れる。いや、もう壊れてるのかもしれない。
そんなのは、嫌だ。
方法は一つしかない。
この物語を閉じるにはこれしかない。
終わらせよう、こんな悲しい話は。
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