勢いで書いた異世界&転生

ああ・・・、後悔。


昨日、徹夜したせいでハイパー眠い。

しかも、地下鉄の暗さと、心地いい揺れと、椅子の柔らかさと。

環境が「眠れー」って言ってるみたいで辛いぃ・・・。

学校でも、国語なんてもう思い出しただけで眠気がああああああ!!!!!


あー、ダメだダメだダメだ!

眠いとテンションが迷子だあ・・・。

最寄駅まで大分あるのに、それまで睡魔という悪魔と戦うんだろうか?

神様、なんという試練!


・・・そうだ、今日の晩ごはん何にしようかなー?


スープとか、あったかくて、安心する味がするよね。


湯気はふわふわしてて、いいよね・・・。


ふわふわといえば、羊かなぁ・・・。


ふわぁ、あくびがでてきちゃうなあ・・・・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


わあああああああああああ!!!!!


寝過ごしたあああああああ!!!!!


ってか、窓の外っ!


遠くに山が見えて、手前には田んぼがあって、真ん中にはひまわり畑が。

ほのぼのとした田舎っぽいけど・・・?


でも、全部紫一色!?

しかも、ドロドロと溶けてて、絶妙にキモいぃぃぃ!?


あれぇー?地下鉄に乗ってたんだよね?

今も、電車には乗ってるんだけどさ。

外がただただ異様!!


あっ、そうだ!

先頭車両に乗ってたんだから、運転手さんが・・・!


急いでかけよる!


ぬわっ、いなああああああい!!!

なんで!?

じゃあ、なんでこの電車動いてんの!?

怖ああああああ!!!?


えっ、これ、どうしよう?

これ、どうしよう!?

ええええええええええ!!!!!??

(超パニック状態)


『ええー、次はー、紫里ー、紫里ー、お出口はー、右側ー。』

ゆかりざと?

まあ、見た目そのまんまだね。

じゃないよ。

じゃないって。

どうする?降りる?

降りないよ!怖いよ!

(まだパニック状態)


駅(もちろん紫一色でドロドロでキモい)に到着し、ドアが開く。

でも、誰も降りない。

貸し切りだったのか!!

じゃあ、座席で寝転んだりすればよかったなぁ・・・。

夢だったのに!

あれっ?先頭車両に何かが乗って来ましたね・・・?

何!?(((( ;゚Д゚)))


「裕美様~、魔王を倒してくだされ~!」

裕美とは、私のことだけど・・・。


なんだね、君たちは?

魔王?

まあ、確かに居そうだけど?魔王。

このドロドロの紫一色のおどろおどろしい場所なら、出てもおかしくないね。

ところで君たちはなんだね?

(パニック再来)


なんか、虫歯菌みたいなのが五匹ほど、こっちに来た。

黒のかわいい悪魔に、矢印みたいな槍を持たせたみたい。

しかもすっごく小さくて、身長は私の膝下くらいまでしかない。


「なーに?まおう、ってなにかな?」

なんか、子供に向かって話してるみたいになっちゃうな。

「ちいっ、子供扱いしないでくだされっ」

ぷくうっとほっぺを膨らませて、怒ってるのに余計にかわいくなってる!

「うんうん。で、魔王ってどのくらい大きいの?」

「裕美様と同じくらいでっせ!」

さっきと違うちっちゃいのが答える。

「そっかぁ。強いの?」

「強いなんてもんじゃないんす!

ありゃー化け物っす!」

また違うちっちゃいのが答える。

「そういえばさ、なんで私の名前知ってるの?」

「みんなで、『この方ならなんとかしてくれるアルよ!』って相談して、いろいろ調べたネ。

それで、裕美様を呼ばせていただいたアルーっ」

またまた違うちっちゃいのが答える。

「じゃあ、一緒に戦ってくれるの?」

「もっちろんだよっ!それで、戦いが終わったら、裕美様はすぐに元の世界へお戻しするよっ!」

またまたまた違うちっちゃ(以下略)


「分かった!私、頑張るよ!」


さあ早速っ!電車を降りて・・・!


「わああー!噂をすればでっせ!」

ん?

後ろを振り向くと・・・。

うわああああああ何これキモいいいいいいい!!!!!

なんか、紫色の泥の、真ん中が盛り上がってるやつみたいなのがぬめーっとでてきた!

しかも、言ってた通り、私と同じくらいの大きさだし!


「魔王っす!さあ、やってやるっす!」

えっ!?いきなり魔王!?

「裕美様もよろしくお願いしますネ!

気合いいれていくアルーっ!

さあ!」

それぞれ、槍みたいなのをかまえるちっちゃいの達。

表情も、真剣そのままだ。

(でもなんかかわいい)

「いやいや。さあ!といわれても・・・。

触りたくないし!」

「なんでっすかぁー!」

「だって、ぬめーって言ったよ!?

グチョーって言ったよ!?

これ、潰すとグチャッって言って、

紫のヌルヌルがビチョーってなるやつだよ!?

(超ウルトラスーパーパニック状態)」

「あちゃー、聞きたくない効果音があふれかえっちゃってるよっ!」

「嫌な効果音のオンパレードは、そこらへんでやめてくだされーっ!」

「ほら、魔王待ってまっせ!」

ほんとだ。

あぐらかいて、頬杖ついて、ビンボーゆすりしてる。

ヌルヌル集合体のくせに、ずいぶん器用だなー。

「で、どうやって戦うの?」

「簡単だよっ!

アルネ、アレの出番だよっ!」

「分かったアルーっ!」

あっ、君はアルネって名前だったのね。

「パッパラーン!アル!」

ハデな効果音とともに、アルネが出してきたのは・・・?

「・・・これ、完全にGOKI退治用のやつだよね?」

「気にしないで、ちゃちゃっとやってくだされっ!」

遠くで、ちっちゃいのが叫ぶ。

見ると、私があたふたしている間に、槍みたいなのを投げて、攻撃を始めていたみたい。

よしっ、私も!

狙いを定めて、遠くから・・・!


プシュー!


泡のようなものが、紫色のぬめーっとしたヤツを包み込む。

「中身を全部使っちゃってくだされっ!」

OK!

プシューーーーーーーーーー!

おう、結構出るね。

普通に30cmくらいの缶で、新品でもなさそうだったのに。


それでも、すぐに全部使い終わった。


・・・。


魔王、静かになったよ?

「・・・これ、倒せたカンジ?」

「そうだよっ!」

「すごいっす!」


・・・ため息の六重奏。

「「「「「「・・・泡の中身、確認しますか。」」」」」」


遠く離れた、泡+魔王の塊に近づきながら話す。

ちっちゃいの達に歩幅を合わせると、ゆっくり歩くことになっちゃうんだよね。

「っていうかさ、魔王倒すの私じゃなくてもよかったんじゃない?

だって、普通のGOKI用のスプレー噴射するだけだし。」

「いいや、だめっす!

裕美様は、よくわからない状況にもすぐに適応するんす!

だから、裕美さんじゃないとだめっす!

まじスゲーっす!リスペクトっす!」

えへへー、照れるじゃないか!褒めるなよー♪


「さあ、いよいよ中身を確認するときでっせ!」

「だれがやるんすか?」

「やらせてくだされ!」

「やらせてほしいでっせ!」

「やるっす!」

「やるアル!」

「やるよっ!」

「じゃあ、私もやろうかな・・・。」

「「「「「どうぞどうぞ」」」」」

「打ち合わせしたのかな?💢」


白い泡は、今は固まっている。

うえー、怖え・・・。

めくりたくねぇ・・・。

「アルネちゃん、代わってあげるよ?(圧力)」

「別にいいアル。」

「裕美様なら、きっとできるよっ!」

「いやいや、私よりキミの方がいいって!勇気もあるし?」

「あはははは・・・、だよ。」

なに?どういう心境なのっ?なんで苦笑いなのっ!?

「さあ、ベリッといってくだされ!」

「連れて来ておいて、一番嫌な仕事させるってどーゆーことかな?」

「早くしないと、逃げちゃうよっ!」

「やっぱり君たち、なんか打ち合わせしてるよね?

シカトは良くないな~!」

「お願いでっせ!ね?」

なんかかわいくお願いしてる。

「もう、かわいければなんとかなるとか思わないでよねっ!」

こうなりゃヤケクソじゃああああああ!!!


ベリッ!


「なんか転生したみたいで戸惑っております!」

・・・何コイツ。

「ちょっ、泡が絡まって出られないのですが。

そこのお方、手伝っていただけませんか?」

はい?私?

ってか、何コイツっ!

姿は、イケメンそのもの。

そう。人間の。

何て言うかな・・・。俳優顔。

ってか顔ちっさ!

背高っ!

「あのさ、アルネちゃん。

もう、帰っていいよね?」

「もちろんアル!

裕美様、ありがとうネ!」

「「「「「裕美様、ありがとうございましたー!」」」」」

みんなが、一緒におじぎする。

「あの、泡から出られないのですが・・・?」

「私、帰るね。

どうやったら帰れる?」

「さっきの電車に乗ってくだされ!」

「分かった!」

さっさと電車に乗る。

「元の世界に戻ったら、ささやかながらお礼をさせていただくっす!」

「それは別にいいからね!」

・・・元魔王は、何かを諦めたのか、静かになった。


ぷしゅーっ。

電車のドアが閉まる。

私は、同時に窓を開ける。

「じゃあねー!」


「「「「「またお越しくださいませ、裕美様~!」」」」」


「それは嫌かな~!」


「「「「「ありがとうございました~!裕美様~!」」」」」


「良いって~!達者でな~!」


「「「「「は~い!」」」」」


気持ち悪い景色が、遠ざかっていく。

なんだか清々しい気持ちで、窓を閉める。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


気づいたら、家にいた。

お茶の間で、制服のままでごろんと仰向けになってるみたい。

学生かばんも、隣に置いてある。

「裕美ー!彼氏さんが家に来たよー!」

お母さん、私彼氏なんていないよ?

何言って・・・。

「裕美さん、こんにちは。」

長身の、ちっさい俳優顔。


お前かよおおおおお!!!!!

元魔王ーーーーーー!!!!!


「ねえキミ、ちょっと外で事情を話してもらおうか」

玄関に突っ立っている元魔王の背中を押して、外に出た。

「えへへ。アルネちゃん達に、

『裕美様へのささやかなお礼として、裕美様の彼氏になってくれ』

って頼まれまして。

裕美さん。彼氏として、よろしくお願いします。」


・・・お礼ってそれかよおおおおお!!!


(終わり)

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