買い物
①
次の日の朝、おめかしをして、二人を待っていた。
(花ちゃんもお宮様もおそいな~)
そう思い家の中で待っていた。久しぶりにさしたかんざしは、花ちゃんの作った物で、桃色の桜が付いている、着物は、上品な花模様にした。小花が散りばめてある、ありきたりな物であったが、私にとっては、立派な物である。
(二人共、おめかししすぎて遅れているのかな?)
そう思い、家の外へ出ると、駕籠があった。
(えっ? 何で駕籠(かご)?)
そう思っていると、中から、お宮様が出てきた。
「あら、青さん、今日は、珍しくおしゃれね」
お宮様は、そう言って、手を取った。
「待って、私も駕籠に乗せられるの?」
「ええ、そうよ」
「青ちゃん、私もよ」
もう一つの駕籠から、花ちゃんが顔を出した。くちびるに紅を指しているのがみえる。
「花ちゃん、駕籠の中って居づらくない?」
「とっても居づらいわ」
「……」
三秒だけ考えた。乗るか乗らないか。
「乗らなかったら、どうなります」
恐る恐る聞いてみると。
「道に迷うでしょうね」
「なんで、迷うの?」
「ええ、街は広いし、人も多い、行くのにだってそれなりの距離はあるわ、子供一人で行ける物じゃないわ」
「そ、そうかな?」
「ええ、だから、駕籠を用意したの、分かる?」
「ありがとうございました」
不本意ながら、礼を言わなければいけない立場なのだと気が付いた。
「あなたたちが、このくらい考えていないことは、分かっていた物、いいのよ」
「さすが、お宮様、でかけ慣れていますね」
「まあね」
よいしょしておくといい事がありそうだと思ったので、そうした。
「さあ、御簾(みす)を避けて乗って」
「はい」
恐る恐る御簾を開けて、中へ入ると、狭い空間があった。
(これが、お金持ちの移動手段)
ワクワクと困惑が混じる。
「では、行きますよ」
男の人が担ぎ上げたのか、体が浮いた気がした。
(うわ~、これで街まで行くのか~)
確かにいづらいが、ワクワクが勝ってしまった。
(おもしろい)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます