③
その夜は、別な意味で眠れなかった。
(みんなが、がっかりする)
心の中で怖くなった。
「青、眠れないの?」
「うん」
「そうでしょうね、明日は、貸本屋に本を出すんだものね」
「ねえ、一回も借りられないって事は、あるの?」
「あるよ、いっぱい」
「珍しくないの? 私もそうなるかもしれないの?」
「うん、新人さんならよくある事よ、青はどうか、わからないけど、気にしなくていいわ」
「そうなんだ」
そう言われると、みんな初めは、ダメなんだと思って、安心した。
(明日、借りる人がいなくても、落ち込まないぞ)
心の中でそう思っていた。
しかし、実際は、借りる人がいないのは、さみしい。
(どうしよう)
心の中で焦りまくる。
「青、大丈夫よ」
「何が」
「人は、なんでも、うまくいっても、うまくいかなくても、無駄じゃないの」
「無駄じゃないの? 売れなくても?」
「そうよ」
優しく頭を撫でられて、眠りについた。
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