⑤
次の日、寺子屋に行く時間だった。
「青ちゃん」
花ちゃんが迎えに来てくれた。かんざしは藤のかんざしだったので、紫色がきれいだった。
「花ちゃん、おはよう」
「青ちゃん、顔色悪いね」
「そうかな? まあ、毎日お宮様と怖い話を考えているから、怖くて眠れなかったりするんだ」
「それは、大変ね」
花ちゃんは、かわいそうな人を見る目でこちらを見ている。
「うん、大変、ふあ~」
あくびが出た。
「でも、どんな話が出来上がるか、私は、ワクワクするけどね」
花ちゃんがそう言うが。
「書く方は、命が縮まりそうだ」
お宮様には聞こえないように文句を言ってやった。
☆ ● ☆
そして、寺子屋について、席に着く。
「青さん」
お宮様が案の定声をかけてきた。
「何ですか?」
「今日も、企画出しがんばりましょうね」
「うん」
(もう、怖いのは嫌だな)
心の中では、そう思っていたが、言えるはずもなかった。
「ふふふ、大変そうね」
花ちゃんは、笑って見ている。
(笑い事じゃないんだけど……)
ふとそう思うと嫌気がさした。
「皆さん、授業を始めますよ」
「「はーい」」
みんな席に着く。
「では、かな文字の書き取りをしましょう」
「「はい」」
みんなで一斉に返事をした。
墨をこすって、筆で書いていく。
(もう、かな文字は覚えたのにな~)
今回の授業は、きれいに書けるように練習するために書かされているのだ。
(はあ、面倒くさい)
書きながらそう思っていた。
そして、授業が終わった。
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