③
そして、次の日になり、寺子屋に向かうと。
「青さん」
お宮様が待っていた。
「小説の事、考えてくれたかしら?」
「は、はい」
「そう、それなら、筆名を決めましょう」
「それは、完成してからにしましょう」
「まあ、そうね」
お宮様は、納得したようにそう言った。
「それで、何を書くの?」
「えっと、恋愛?」
「恋愛ね、いつの時代でも絵になる物ね」
「そうだよ、絵になるもん」
「それで、恋愛の経験は?」
「ないよ」
「はあ? それで、何で書こうと思ったの?」
「なんとなく」
「それなら、もう少し考えましょう」
「そうしたほうがよさそうだよね」
とりあえず、授業を受けて、帰り、お宮様に追いかけられた。
「企画書をだして」
「ごめんなさい、まだ考え中です~!」
「青さん、しっかりしてください」
お宮様が力強く一括していなくなると、花ちゃんは。
「青ちゃんも大変なことに巻き込まれてしまったね」
「花ちゃんがいい事だとか言うからだよ」
「ごめんね、いい事だとは思うけど、私だったら、無理かな」
花ちゃんは、悪びれずにそう言う。
そして、その日から、お宮様が毎日来るようになった。
朝起きて、学校へ行こうとすると家の前に。
「青さん」
お宮様が待っている。
「企画は、まだ出ないから~」
「青さん!」
「白熱しているね~」
お父さんは、そう言って笑っている。
(こんなの嫌だよ~、私に才能なんてないのに)
心の中でイライラした。
☆ ● ☆
次の日も、次の日も、そのまた次の日もお宮様が来るので、夢で、おばけに追いかけられている夢を見た。
(あ~、怖かった)
その時、ふいに。
(怖い話を書こう)
急にそう思ったのだった。
「お宮様、怖い話を書きませんか?」
「いいわね、やっと書く気になったのね」
「は、はい」
少し複雑な気持ちで頷いた。
「さあ、書くわよ」
「お、おう」
ひかえめにそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます