頭の角は「悪」のしるし

第19話 シャンプー

　シャンプーとリンスが終わると、今度はレズビアは手にハンドソープをつけ、僕の身体を洗い始めた。

　ふえぇ……。

　なんだかこそばゆい。

　で、やはりというか、レズビアは僕のおっぱいを揉んできた。揉みしだいてきた。

　泡がぷくぷくとおっぱいを包み込む。

「ちょ、ちょっと、つ、強いよ」

「ああ、悪い」

　レズビアは今度は優しく揉んでくる。

「あ、あんまりソフトタッチもその……ひゃっ！」

「注文が多いやつだ」

　しょうがないじゃん。敏感みたいだし。

　レズビアはおっぱいを洗い終えると、腰、お尻、足と洗ってゆく。

「さて、最後に……」

　レズビアは僕のお股を見つめる。

「ちょっと待って。そこは自分で洗うから」

「いや、遠慮をするな」

「え、遠慮とかじゃなくてですね」

　ひっ、ひゃあああ！

　………

　……

　…

「下の毛は剃るタイプか？」

「そんなこと言われてもわかんないから。男は普通剃らないからね」

「そういうものなのか」

「そういうもんだよ」

「ためしに剃ってみるのもいいかもしれない」

「やめて。剃んなくていいから」

「そっちのほうがエロいからか？」

「うん、それでいいよ。もう何でもいいよ。あ、そうそう、レズビアはどっちなの？」

「それはセクハラだ」

「何でだよ」

「まあ、今日はこれくらいで勘弁してやろう。どうだ？　気持ちよかっただろう？」

「疲れたよ」

「誰も突いてないぞ」

「そういう下ネタやめてほしいんだけど……じゃあ、次は僕の番だね」

「何が僕の番なのだ？」

「レズビアの身体を洗ってあげる」

「バカ、やめろ、この変態！」

「僕だけ洗ってもらうのは悪いからさ」

「変なこと考えているのだろう？」

「そんなことないって。髪の毛くらいは洗ってあげるよ。だって僕はレズビアのメイドだし」

「まあ、髪の毛くらいなら……」

「じゃあ、そこに座って」

「よかろう」

　レズビアは風呂椅子にちょこんと座る。

　普段大仰な態度を取っているけれど、こうしてレズビアの裸の背中を見ると、どうも小さく見える。

　僕は手にシャンプーをつけ、レズビアの髪の毛を洗ってやる。

　ごしごしごしごし……。

　痛っ！

　レズビアの角が手に刺さった。

　やっぱこれ邪悪なもんだわ。

　髪の毛を洗い終え、リンスもする。

　あと、角も洗ってあげた。

　さて――

　僕は石鹸を手に取り、手のひらで泡立てる。

「おい、身体はいいと言っただろう？」

　レズビアが振り返ってこようとする。

　すかさず僕は、レズビアの背中に自分のおっぱいを押し当てる。

「な、な、何をしているのだ」

　レズビアがあせった調子で言う。

「む、胸が背中に当たっているぞ」

「わざとだよ」

「な、な、何！？」

　散々今までいじめられたわけだし、ちょっとくらいからかってやってもいいかなって。

　それに今は女の子の身体だけど、やっぱり僕の心は男のわけで、レズビアの裸を見て、むらむらしてきたっていうか。

「もしかして、淫魔族の本能に目覚めてしまったのか？　だが、私は女だ。そんな、やめろ……」

「だって僕は元々男だし」

「も、もうすっかり女のはずだ」

「そんなことないし。レズビアってかわいいよね」

「か、かわいくなんかないからな」

「いや、かわいいって」

「や、やめろ」

　僕は後ろから抱きかかえるようにして、レズビアの小さな胸に両手で触れる。

「ひゃっ！」

　レズビアがかわいい声をあげる。

　そして、彼女はわなわなと身体を震わせ、ばっと立ち上がる。

　僕はその勢いで弾き飛ばされ、床に転がる。

　レズビアは倒れている僕を見下ろし、

「おい、貴様、よくも私の胸を……」

「だって、レズビアだって僕の胸めっちゃ揉んできたじゃん。これでおあいこだから」

「何がおあいこだ。まだ私の調教が足りないみたいだな」

「ちょっと待って。暴力反対」

「暴力は行使しない。私はメイドに対して優しいからな」

　レズビアは僕に覆いかぶさってきた。

「ひっ……。ごめん、ごめんて」

「そんなにこのデカ乳をいじめられたいか？」　

　レズビアは僕の乳首を指で押してくる。

「ひゃっ、や、やめて……」

　そのとき、浴場の扉ががらがらと開かれた。

　僕とレズビアは、絡み合ったまま、そちらを向いた。

「あらあら、女の子どおしで……。そういうのもいいと思うわ」

　そこにいたのは、アネリアさんだった。

「ね、ね、ね、姉さん、こ、これは……違うの！　違うの！」

「ちょっと忘れ物を取りに来て、ふたりのエッチな声が聞こえたと思ったら……レズビア、あなた、名前のとおり……」

「姉さん、私たちはそんなことしてないの。これはその……」

「おじゃま虫は退散するわ。ふたりでごゆっくり」

　がらがらがら。

　扉が閉められた。