第17話

入学式は恙なく執り行われた。

ただ俺はギプスを着けていたため、やたらとチラチラ見られていた。簡単に言えば悪目立ちしていた。

俺が入学したこの高校には顔見知りがつい先日知り合った藍ぐらいしかいないのでなんとも居づらい空間だった。

それに簡単に他人に打ち解けられるような性分はあいにく持ち合わせていない。

入学式の後はクラスの確認をし教室へ向かう。そもそも俺の中学からこの高校に来たのはほんの数人しか居らずその全員とは俺は友達はおろか会話すらした事がない。

言ってしまえばどのクラスに属しても大して差がない。

そんな俺が唯一と言っていい心配事は藍とは

同じクラスにならないで欲しい事だった。

まあ兄妹で同じクラスになる確率は皆無だし

きっと杞憂に終わるだろう。…なんて思ってたのに。

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