第10話

不良達をどうにか退けた俺は一人ショッピングモールの外にある公園で休憩をした。

ここへ来る途中ちらほらその件についての

話が聞こえてきたが気にするそぶりを見せずに歩いた。

母親と連絡を取り合流することも出来るがどうしても気が失せる。

ベンチに座りさっき買った缶コーヒーに口を付ける。口の中に広がる苦味が目を覚まさせ

た。そして、既にエネルギーが残っていない脳を無理矢理動かす。

先刻の不良との対峙した時の事。

あの時な自分の別の一面を見た。

攻撃的で排他的。そしてナイフを首に突きつける事に躊躇が無かったという事実。

もちろん自分でとった行動の自覚はある。

ただブレーキが効かなくなったというか理性が消えたというか。

ただそれが存在することが問題では無く、その本性と呼ぶにはあまりに判断材料が不十分だがその残忍かつ凶暴な一面を曝け出したという自分を案外嫌悪していないという事だ。

普段は人畜無害で誰に迷惑をかけるわけでない生活を送ってる。

そんな自分ですら別の一面を持ち合わせてる。そしてその一面を快くとまではいかなくとも嫌っては無いという自分に嫌悪すると同時に寒気がする。

誰にでも本性があり裏の顔がある。

そんな事は重々承知だがまざまざと自分自身で味わった。味わってしまった。

幸いにもその姿を藍さんには見られていない。だが、すぐに合流する気にもなれずこうして一人公園で休んでる。

既に昼時を過ぎ徐々に太陽が傾いてきた。

先程まで公園で遊んでいた子供達の姿もなく

この場には俺しかいない。

携帯には何通かメールが来てるがその内容は

、まあ見なくてもわかる。

ただ心配かけるのも悪いので簡単に返信し

一人で帰る旨を伝えた。

携帯をポケットにねじ込み二本目の缶コーヒーに口を付ける。

この場に来てどれ程時間が経ったのだろうか。どれだけ考えても結論が出ず、無駄だと

分かっていても諦めていてもそれでも思考は止まる事はない。その果てには焦燥感しか残らなかった。

結論を出さなければ先には進めずその反面、先に進んでいいのかという恐怖や焦りや不安が拭いきれずにいる。

俺はどうしたいのだろうか。

その問いに答えるものはいなかった。

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