第4話

先生に挨拶をした後、俺は病院を後にした。

久しぶりの外の空気、眩しい太陽。

病院で寝たきり生活を送っていたためか、

体がだるく体力も落ちている気がした。

歩くだけで息が切れてしまうレベル。

駐車場に行き俺は車に乗り込み家へ向かった。

二週間ぶりのマイホーム。寂しかったぜ!

どれだけ寂しいかというと入院中に夜には

枕を濡らす程度には寂しかった。

俺の家は病院から車で二十分程の距離にあるため少し遠く車中は暇だった。

車が揺れると、ときどき腕に衝撃が来るので

気を付けて運転してほしい。

まあ、こうして迎えに来てくれるだけ

ありがたいと思わなくちゃいけないやな。

車窓から外の景色をぼーっと見てると家に着いた。

普段は家に着いても何とも思わないが、

今はとてもありがたみを感じてる。

そんな気持ちで家に入るのも良いだろうと

そう思いながら、片手で玄関のドアを開ける。


「ただいまー」

俺は誰もいないのについ言ってしまった。

俺ってばお茶目さん。テヘペロ♪

すると、いるはずのない家の中から声がした。

「お帰りなさい〜」

バタン!!

反射的に玄関のドアを閉じてしまった。

何で返事があるんだよ!!

いつ幽霊が住み着いたんだよ!

いや待てよ。家に人がいるはずがない。

ついでに幽霊もいないはずも無い。え、本当にいないよね?

とりあえず一回状況を整理しよう。

うちは母子家庭で俺も母親も玄関の外にいる。

よって家に人がいるはずがない。

なのになぜ?!

ていうか、俺の目がおかしくないのなら家に女の子が2人と男性1人いるように見えたんですが、どういうことですか?

あ、そうか。家を間違えたんだ。

そうだ。そうに違いない。

「母さん。家を間違えてないかい?

家に人がいるんだけど。」

「あれ?言ってなかった?

私再婚したのよ。」



え??

唐突に告げられた重大ニュース。

おっかしいなー、息子の俺がそんな大事な事を知らないなんて。

まあ、百歩譲って再婚したのは良い。

何も良く無いけども。

何で再婚相手が家にいるの?何一つ聞いてないんですけど。

「前々から言おうと思ってたけど

どうせなら茜が退院した時に驚かそうと思ってうちに引っ越して来る事内緒にしてたのよ」

「はぁ?」

そんなしょうもない理由で聞かされてなかったのか・・・。

ちょっぴりショックだよ。

「そんなことより、とりあえず家に入って。

色々話す事もあるから。」

俺のガラスのハートを傷つける事態を

そんなことって。

まぁ、こんな所で話すより家に入って

話す方が良いだろう。

新たな住人に迎えられ、今度はしっかり帰宅した。自分の家なのに自分の家のように感じられない。少し複雑な気分だ。

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