五枚目.会ってみたい
「あれ?言ってなかったっけ?」
雫は目を丸くしてカレーを頬張る。
「へ、え?」
「あーーそっかぁ、人魚の件があった時ってあなたまだ生まれてなかったものねぇ…。そうか、すっかりわすれてたわ。」
何を平然と言っているんだ私の師匠は。
かほるは自然とまゆと口が引きつっていた。
「い、いるんですか、人魚。」
「いるわよ?まぁ山の奥の方だけどね。よく薬を届けに行ってたりしてたし。てっきり話してるものだと。」
そっかそっかぁ、はなしてなかったかぁ。と言いながらどんどんとカレーは雫の口の中へ。
そんなにフランクな話なのか。もっとこうニュースになるようなことではないのか。
かほるの脳内がごちゃごちゃといっぱいになる。
「そんなに気になる?人魚。」
「そ、そりゃあ!気になりますよ!!物語でしか見たことがないんですし!」
身を乗り出し、目をキラキラと輝かせる。
ふぅとなにか一呼吸おいて雫の口が開いた。
「まぁそろそろあってみてもいい頃かもね。」
「え?」
「わかったわ。明日動物達に薬を届けるついでに行ってみましょう。」
コトンとスプーンを置き、雫は水をグビッと飲み干した。
夏の鱗 海山 そら @srtnum
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。夏の鱗の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます