第3話【夏の日 前編】

私と涼介は驚いた。冷や汗が出てくる。不安と恐怖が入り混じり、血の気が引いてくる。「なんでここに2人がいるんだよ?!」涼介が意を決したように問いかける。

「いやだって、2人が一緒に帰るっていうからそれも七夕の日にだよ?だからてっきり七夕祭りに行くのかと思ってあと付いて行こうって優馬と話して…」そこであかりは言葉を詰めた。

「そしたらお前らが墓地なんかにいるから!どーゆーことだよ?!」優馬が問いただす。

私はこの雰囲気と2人に知られてしまったという恐怖に居ても立っても居られずに走ってその場を逃げ出した。

そのまま家に帰り私は部屋にこもった。


30分くらいした頃家のインターホンがなった。

母親が私の部屋の前でとまり3人が訪ねて来たと話があるから部屋に上がらせてほしいと言っているということを私に伝えた。

私は仕方なく3人を部屋に通した。


カチ…カチ…カチと時計の音だけが幾分か鳴り続いた。時計は21:00過ぎを指し、晴天の今日はこの時間帯が1番星が綺麗に輝く。本来七夕の今日なら、風情があり、ロマンチックだ。

だが、私の部屋の中はそれとは言えない。

しんみりと湿ったような居心地の悪さ。

最初に口を開いたのは優馬だった。

「ここ最近2人が様子おかしかったのはこのことか?」ズバリその通りだった。鈍感そうでそういうことには疎そうに見える優馬だったが、今回はそうではなかったようだ。察しがいい。

私は俯いたままだった。

観念したのか涼介が話し始める。

「俺たち高校入るまで、つまり中学まで田舎にいたんだ。」

「引っ越して来たってこと?それとなにが関係あるの?」あかりが不思議そうに首を傾げる。

涼介は話し始める。

あの夏の日のことを。



「中学3年の夏の話なんだけど、俺と楓は幼馴染だろ?でも本当はもう1人幼馴染がいたんだ。名前は桜。大人しくて優しい奴だった。あいつは中学2年の頃からクラスでいじめにあっていたんだ。俺はクラスが違ったからそれがわかったのはだいぶ後だった。楓はクラスが同じだったからそれを知ってたらしい。楓は桜を1人にせずいじめにあってる時も桜を庇ったりしてたらしい。でもそんなある日。七夕の前日のことだ。俺と楓は桜に大切な話があるからと楓の部屋に集まった。そこで俺と楓が……少し前から付き合っていたことを言ったんだ。」

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