随筆二十九:まじ、やられた!

心桜「つっちゃー!」

七夏「あっ♪ ここちゃー、いらっしゃいです☆」

心桜「ちょっと、聞いてよー」

七夏「どしたの? ここちゃー?」

心桜「あたしのお爺ちゃんがさ---」


-----心桜 回想-----

お爺「心桜! お小遣いをあげよう!」

心桜「え? ホント!? わぁ~い! ありがとー!」


お爺ちゃんはそう言って、あたしの目の前で札束を扇子の様に広げ、1、2、3・・・とお札を数え始めた。


お爺「4、5、6、7・・・」

心桜「ちょっ、お爺ちゃん! そんなに沢山!?」

お爺「8、9!!」


・・・そう言って、お爺ちゃんは9枚を自分のお財布に戻し、手元に残った1枚をあたしにくれた。


心桜「あ・・・えっと、ありがと。お爺ちゃん・・・」

-----心桜 回想-----


七夏「わぁ☆ 良い事ありました☆」

心桜「まあ、良かったんだけど、何か悔しくてさ」

七夏「1枚でもお小遣いを貰えたのですから、そこは感謝しないと」

心桜「いや、1枚しか貰えなかった事が悔しいんじゃなくて、お爺ちゃんの作戦に舞い踊らされたあたし自身が情けなくて・・・しかも、その後のおじいちゃんの『してやったり感120%のドヤ顔』が脳裏に焼きついて・・・あ゛ーくやしーーー!」

七夏「ここちゃー落ち着いて!」

心桜「くやしぃ~んだけど、ま、何も労せずお小遣いを貰えたからよしとしますか!」

七夏「くすっ☆」

心桜「という訳で、つっちゃー!」

七夏「は、はい!?」

心桜「ソーダ・ラムネアイス、ふたつくださいな!」

七夏「え!? あ、ありがとうです☆ ちょっと待っててくださいね☆」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


七夏「お待たせしました。ここちゃー、いくら暑いからって、一気に2本もアイスを食べると、お腹がびっくりしますよ」

心桜「何言ってんの!? 1本はつっちゃーの分だよ!?」

七夏「え!?」

心桜「お小遣い貰った話だけしてそれで終わりだったら、あたし単にイヤミな奴だよ!」

七夏「そんな事、思わないです☆」

心桜「という訳で、1本はつっちゃーのね! 遠慮禁止!!」

七夏「はい☆ ありがとーです☆ ここちゃー☆」

笹夜「こんにちは♪」

七夏「笹夜先輩☆ いらっしゃいです☆」

心桜「ふごふご・・・」

笹夜「こ、心桜さん!? すみません。大丈夫かしら?」

心桜「あーいえいえ! アイスほうばってたから・・・こんちわ! 笹夜先輩!」

七夏「笹夜先輩もアイス、如何ですか?」

心桜「おっ! つっちゃーが営業してる?」

七夏「そういう訳ではなくて・・・」

笹夜「では、私も、おひとつお願いします♪」

七夏「はい☆ ありがとうです☆」

笹夜「いつも頂いてばかりですから、お礼も必要です♪」

七夏「笹夜先輩☆」

笹夜「はい?」

七夏「えっと、メロンアイスがあります☆」

笹夜「まあ♪ では、メロンアイスをお願いします♪」

七夏「はい☆」

笹夜「ところで、今日は何のお話をされていたのかしら?」

心桜「それがですね・・・」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


心桜「・・・という事なのです」

笹夜「なるほど」

心桜「まじ、やられた! って事になるんですけど、笹夜先輩は、そんな事あったりします?」

笹夜「え!? 私ですか? えっと・・・」

心桜「つっちゃーは?」

七夏「え!? 私!? えっと・・・」

心桜「あー、同じ反応か・・・お二人ってそういう共通点がありますよね?」

笹夜「あ、そう言えば・・・」

心桜「おっ! 何かありましたか?」

笹夜「美夜が私の櫛を勝手に使って、どこかに置き忘れてしまった事があって---」


-----笹夜 回想-----

笹夜「美夜、人の物を勝手に使ったらダメです!」

美夜「『人の物』だよね? お姉ちゃんのじゃないよね!?」

笹夜「そ、それは・・・」

美夜「ふふ~ん♪」

笹夜「もう! 美夜っ! 私の櫛です!」

美夜「わわっ! お姉ちゃんが怒ったぁ~!」

-----笹夜 回想-----


心桜「あははー! 美夜っち、なかなかやりますなぁ~」

七夏「こ、ここちゃー! 笹夜先輩、すみません!」

笹夜「いえいえ♪ でも、いつも美夜には振り回されてる気がします」

七夏「楽しそうでいいなと思います☆」

笹夜「苦労が絶えません・・・」

心桜「それにしても、笹夜先輩を打ちのめせる人って、そうそう居ないような気がしますけど」

笹夜「打ちのめすって・・・」

心桜「あ、手堅いっていう意味です。いつも鋭く切り込まれてますから」

笹夜「そうかしら?」

七夏「はい☆ 笹夜先輩は頼りになります☆」

笹夜「ありがとう♪ 自分の話した事に対して、返ってくる言葉を予測しながら話を進めるのは大切な事です」

心桜「なるほど」

笹夜「でも、自分が慌てていたり、冷静ではない状態では、返ってくる言葉の予測をしないまま話してしまう事があって、そのような時は、こちらも隙が大きい状態と言えます」

七夏「隙が大きい?」

笹夜「ええ。相手のお返事によっては対処できなくなってしまいます」

心桜「詰み・・・ですね?」

笹夜「そうならないように、気をつけたいですね♪」

七夏「はい☆」

心桜「んじゃ、これからも詰まないように、つっちゃーが頑張る『翠碧色の虹』本編はこちら!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_frma_a.htm」

七夏「詰むって・・・」

心桜「あたしたち『ココナッツ』宛ての、お手紙はこちら!」

心桜「http://nanatsuiro.my.coocan.jp/nnt_suiheki_novel.htm#QUESTIONNAIRE」

笹夜「七夏ちゃん♪ 頑張って♪」

七夏「は、はい☆」

心桜「いや~、もう色々と詰んでるような気がしてさ」

笹夜「え!?」

七夏「もう・・・ここちゃー!」


随筆二十九 完


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随筆二十九をお読みくださり、ありがとうございました!

本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!

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