随筆六:もっとよくばっていいんだよ!?

七夏「新年、明けまして、おめでとうございます☆」

心桜「あけまして、おめでとうございます!」

七夏「今年もどうぞよろしくお願いいたします!」

心桜「どうぞよろしくお願いします!」

七夏「ここちゃー! これ☆」

心桜「ん!? おぉ! ゴバディ高級チョコセットじゃん!」

七夏「はい♪ お好きなのをどうぞです☆」

心桜「わぁー! ありがとーつっちゃー! じゃ、あたし、これがいいっ!」

七夏「はい☆ 私は、これにしようかな♪」

心桜「あっ、それもいいねー、あたしもそっちが良かったかなー」

七夏「じゃあ、ここちゃー、こっちにします?」

心桜「んー・・・・・」

七夏「??? どしたの? ここちゃー?」

心桜「つっちゃーさ、もう少し自分がほしい物は、ほしいって言うべきだよ」

七夏「そ、そうかな?」

心桜「じゃないと、厳しい生存競争で生き残れないよ!」

七夏「生存競争って・・・」

心桜「思うんだけど、今回のチョコセットさあ、なんで白いチョコが1個しか入ってないんだろうね?」

七夏「えっと、それは・・・」

心桜「こんなの、絶対に白いチョコを巡って、争いが始まるのが目に見えてるよ・・・わざと狙ってるよ・・・確信犯だよ」

七夏「そうなの?」

心桜「まぁ、つっちゃーみたいに一人っ子だと、分かんないかなぁ」

七夏「兄弟がいますと、毎日が楽しく、賑やかになりそうです☆」

心桜「そうかなー、あたしの家で、こんな高級チョコセットが出てくると、弟と白いチョコ争奪戦の幕開けだよ」

七夏「くすっ☆、ゆーちゃん、とても可愛いです♪」

心桜「いやいやいやいや、あれは猫かぶってるだけで、家ではもう・・・はぁー」

七夏「そうなの?」

心桜「そだよ。毎日何かしら戦争があるからね・・・島争奪戦の日々だよ」

七夏「???」

心桜「例えば、朝の洗面所争奪戦や、テレビのチャンネル争奪戦、お菓子争奪戦・・・まったく、共同戦役にならんのかと思うよ」

七夏「それは・・・ちょっと大変ですね」

心桜「でしょ!! つっちゃー家みたいに洗面所とかが2箇所あるだけで、だいぶ違うんだけどなー」

七夏「ひとつしかないと、そうなりますよね」

心桜「みんなと同じ時間に同じ事をする・・・日本教育の悪い所が影響してるよね」

七夏「また、凄い所へお話が・・・」

心桜「だってさぁ。食事時の混雑とか、連休中の渋滞とか・・・少し時間をずらせば、お互いに快適にならない?」

七夏「それは・・・そうなのですけど、お休みの日が同じにならないと一緒に遊べなくなったりすると思います」

心桜「だから、グループ単位でずらせばいいと思うんだけどなぁ・・・」

笹夜「こんにちは♪ 明けましておめでとうございます♪」

七夏「笹夜先輩! 明けまして、おめでとうございます!」

心桜「あけましておめでとうございます! 笹夜先輩! それ、なんですか?」

笹夜「おみやげです♪」

心桜「え!? おみやげ?」

笹夜「ええ。お裾分けになりますけど」

心桜「わぁー! 餅朗のおせんべいじゃないですかっ!」

七夏「ここちゃー、そのおせんべい、好きですよね♪」

心桜「うんうん! 高級チョコといい、やっぱり、お正月は最高だぜっ!!」

七夏「くすっ☆ 笹夜先輩! どうぞです!」

笹夜「まあ、これは!」

心桜「ゴバディ高級チョコセット!」

七夏「はい♪ お好きなのをどうぞです☆」

笹夜「ありがとう♪ 七夏ちゃん♪」

心桜「・・・あれ?」

笹夜「え!? どうかされましたか? 心桜さん?」

心桜「・・・笹夜先輩って一人っ子でしたっけ?」

笹夜「いえ、妹が居ますけど、どおしてかしら?」

心桜「ひとつしかない白いチョコレートを選ばなかったから」

笹夜「ひとつしかないと、かえって選びにくいです」

心桜「そっか・・・兄弟が居ても必ずしも戦争にはならないって事か」

笹夜「戦争?」

心桜「うん。あたしの場合は、弟と、このひとつしかない白いチョコレートを巡って戦争が始まったりするけど」

笹夜「でも、今は、その白いチョコレートが残っていますよね!?」

心桜「そ、そう言われれば・・・」

笹夜「相手の出かた次第って所かしら?」

心桜「出かた・・・確かに仕掛けられる可能性がある相手の場合は、仕掛けられる前に先手を取る傾向があるなぁ」

笹夜「恐らく、心桜さんの弟さんが白いチョコレートを取る可能性があると心桜さんが思っているからです」

心桜「でも、実際そうだもん! 弟はいつも真っ先にいいのを取るからね!」

笹夜「そして、いつも弟さんの思い通りに事が進む事を、羨ましく思ってしまうのかも知れませんね」

心桜「そりゃーね・・・時々でいいからさ、あたしにも譲ってくれたらなぁ・・・なんてね」

七夏「でも、ゆーちゃん、私にはよく譲ってくれます☆」

心桜「まっ! それがあるから相殺して、あたしは譲ってるけどね」

七夏「くすっ☆」

笹夜「心桜さん、あまり弟さんに意地悪はダメですよ♪」

心桜「・・・はい・・・すみません・・・」

笹夜「あら!? 今回は妙に素直ですね?」

心桜「うん・・・昔、ちょっと弟に意地悪した事があったから・・・」

七夏「意地悪?」

心桜「小学生の頃の話だけど、弟とよくお菓子の交換をしてたんだよね。その時もポテトチップの交換をしたんだ。あたしはコンソメ味、弟はのりしお味だったんだけど、あたしが『のりしお味ほしいな』って言ったんだ。弟は『じゃあ交換!』と言ってきたから、交換する事にしたんだ。その時、弟は『形の壊れていない綺麗なヤツをあげる』って話してきた・・・まあ、両親が側に居たからかも知れないけど・・・。あたしはいい子ぶっている弟に、ちょっといたずらしてやろうと思い、形の壊れていない綺麗なポテトチップを袋の中から手にとって『んじゃ、あたしは形の壊れたヤツを選んであげよう!』と言ったら、それを聞いたお父さんが凄く怒った。普段滅多に怒らなかったから、あたしは泣いた・・・手に形の壊れていない綺麗なポテトチップを持ちながら・・・・・弟もびっくりして一緒に泣いてたっけ・・・」

笹夜「まあ・・・すみません・・・」

心桜「いやいや、今となってはいい思い出・・・かな?」

七夏「そんな事があったの・・・」

心桜「んでさ、その時、一緒に泣いていた弟の手に形の壊れたヤツが握られてたら・・・コノヤロー! なんだけど、実際はどうだったのか・・・本人しか分からないね」

七夏「ゆーちゃんも、形の綺麗なのを持っていたと思います☆」

心桜「・・・つっちゃーに免じてそういう事にしておくよ」

七夏「くすっ☆ 私、お茶を持ってきますね☆」

心桜「ありがと、つっちゃー!」

笹夜「七夏ちゃん♪ ありがとう♪」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


七夏「笹夜先輩! ここちゃー! どうぞです☆」

心桜「ありがと、つっちゃー!」

笹夜「ありがとう♪ 七夏ちゃん♪」

心桜「んー、餅朗のおせんべい、おいしぃ~」

七夏「ここちゃー、本当にそのおせんべい、好きですよね♪」

心桜「まあね! このおせんべいと、つっちゃーの煎れてくれる緑茶の組み合わせがサイコー!」

七夏「くすっ☆」

時崎「おや!? 天美さん、高月さん、いらっしゃい! あけましておめでとう!」

心桜「あ、どもーお兄さんっ! あけましておめでとう!」

笹夜「明けまして、おめでとうございます♪」

七夏「あ、柚樹さん♪ 今、お茶煎れますね☆」

時崎「ありがとう、七夏ちゃん!」

心桜「そだ! お兄さんにも一枚あげるよ! はいっ!!!」


天美さんは、おせんべいの外袋に手を入れ、そこから俺の方にパスを送ってきた。俺は慌てて受け取る・・・が・・・


時崎「こ、これは・・・」

七夏「こ、ここちゃー!!」

心桜「げっ! お兄さんゴメンッ! わざとじゃないんだ!」


俺の手には「たべられません!(DO NOT EAT)」と書かれた物体が・・・石灰乾燥剤/脱酸素剤ってヤツか!!!


時崎「うぅ、やられた~!」

心桜「あはは・・・ま、まあ、ある意味『特別な一枚』って事で!!!」

笹夜「心桜さんっ! もう・・・すみません、時崎さん」

七夏「はぅぁ・・・」

心桜「ではでは、みんな揃ったところで! 今年も『翠碧色の虹』を---」


七夏&心桜&笹夜&時崎「よろしくお願いいたします☆!♪」


七夏「お便りも、待ってますね☆」

心桜「おっ、つっちゃー! ちゃっかり、お願い事を捩じ込んできたね~」

七夏「くすっ☆」


随筆六 完


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随筆六をお読みくださり、ありがとうございました!

本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!

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