随筆七:先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!

心桜「つっちゃー! 何読んでんの?」

七夏「えっと、バラサイユノベルです☆」

心桜「バラベルかぁー・・・なんかゾクゾクするよねっ!」

七夏「え!?」

心桜「あの曲!『ベルはベルは~♪』ってヤツ」

七夏「くすっ☆」

心桜「この前、テレビで宝島歌劇団のバラベルCMがあったよ!」

七夏「そうなの!?」

心桜「見てみたいよねー」

七夏「はい☆」

心桜「そうそう、今日はお手紙が届いてるんだ!」

七夏「わぁ! お便りありがとうございます☆」

心桜「早速、読んでみるね!」

七夏「はい☆」

心桜「ペンネーム『モンキーミミ』さん! モンキーミミ!?」

七夏「どしたの? ここちゃー?」

心桜「どっかで聞いた事があるんだけど・・・モンキーミミ、猿の耳って事だよね?」

笹夜「それは、モンキーイヤー」

心桜「イヤーーーッ!!!」

七夏「ひゃっ☆」

心桜「・・・って、びっくりしたぁ!」

七夏「笹夜先輩! こんにちはです☆」

心桜「こんちはー! 笹夜先輩!」

笹夜「こんにちは♪ 七夏ちゃん、心桜さん」

心桜「いや~、このパターン、久々だったから油断してたよ」

笹夜「すみません・・・どこからお話に加われば良いのか分からなくて・・・」

心桜「確かに、仲良し二人組みの会話に割って入るのは、勇気が必要かもね・・・本当はあたしたちが気付かないとダメなんですけど、笹夜先輩のステルスレベルが高過ぎて・・・」

七夏「こ、ここちゃー! すみません! 笹夜先輩!」

笹夜「いえいえ♪」

心桜「・・・って、そうではなくて、確かに猿の耳は『モンキーイヤー』ですよね・・・モンキーミミ・・・なぜミミだけ日本語なのかなぁ?」

笹夜「ペンネームに意味や理由を求めても・・・」

心桜「でも、名前を考えた人は、なんか意味があっての事だと思うんだけど・・・あっ!」

七夏「どしたの?」

心桜「ラブラブモンキーミミィー♪ お願い聞いてぇ~♪」

七夏「???」

心桜「ラブラブモンキーミミィー♪ お願い聞いてぇ~♪ 魔法のプリンセ~ス~♪」

七夏「!!! それって、ミンキーモ…」

心桜「さあーて! 読むよ!」

七夏「は、はいっ!」

心桜「えー『ココナッツさん、こんにちは。私、昔からトロくて、みんなについて行けない事が多くて困ってます。そして、今の学校の教師が「先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!」と言って、どんどんと先に授業を進めてしまいます・・・当然私は付いてゆけなくて・・・トロい人を置いてきぼりにする教育の方針に疑問を抱いてます。これってトロい私が悪いのでしょうか? その教師に、その考え方が間違っていると思わせるような返しが出来ないか考えてみましたが、なかなか良い返し方が思いつきません。何か良い方法はないでしょうか?』・・・だって」

笹夜「まあ、少し特殊なお考えの教師ですね」

心桜「そだね。『先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!』・・・こんな事を言う教師って、つっちゃーはどう思う!?」

七夏「え!? どうって言われても・・・」

心桜「これってさ、出来ていない人は、確実に置いてゆかれるよね」

七夏「・・・はい」

心桜「冗談なら笑えるけど・・・。なんかこうさ、これに対するカウンターって、あてれないかなー」

七夏「カウンターって!?」

心桜「あ、ごめん。ここでは、カウンターアタックって意味で『反撃/逆襲』かな?」

七夏「・・・聞かない方がよかったかも・・・」

心桜「つっちゃーは、平和主義だもんねー」

七夏「平和主義って!?」

心桜「平和主義・・・真っ先にターゲット・・・標的にされるから、気をつけなされや~!」

七夏「???」

心桜「まっ、そのカウンターを考えてるんだけど、お手紙の人も話してるとおり、これがなかなかこう良い切り返しが思い浮かばないよね・・・」

七夏「良い切り返し???」

心桜「まだ出来てない人がいるのに、先に進むんかよっ!!!」

七夏「ひゃっ!」

心桜「・・・って、言うような思いを込めつつ、その教師の話した事が正しくなかったと導けるような気の利いた返し!」

七夏「ここちゃー、急に大声出すから・・・」

心桜「あ、ごめん。つっちゃーなら先に出来たらどうする?」

七夏「えっと、出来ていない人を待ちます」

心桜「それで結構、待たされたらどうする?」

七夏「出来ていない人の為に、何かできる事は無いか考えます」

心桜「さすが、女将の子だね~」

七夏「もう・・・」

心桜「笹夜先輩は?」

笹夜「そうですね・・・出来ていない人の力になれないか考えます♪」

心桜「つっちゃーと同じか・・・でも、それだと、その教師をギャフンとは言わせられないからなぁ・・・」

七夏「無理しなくても・・・」

心桜「でも、お手紙の人は『ギャフンッ!』と言わせたいんだよ!」

笹夜「先に出来て、待っている人が何か意見をすれば良いのですよね」

七夏「先に出来ても『出来ました!』って話さなければいいのかなぁ?」

心桜「そうだけど、残念ながら先に出来た人は『先に出来た!』って主張する傾向があるからなぁ」

笹夜「予め教師に出来た人は、申告するように言われていたら、そうなりますね」

心桜「深刻だねー。そうでなくても、先に出来た人は主張する傾向はあるよね・・・自己顕示欲が強いとか?」

笹夜「まあ、生き残りや競争されているような状況ではそうなってしまいますよね」

七夏「ちょっと、切ないですね」

心桜「平和主義のつっちゃーには厳しい現実だね!」

七夏「えっと・・・まだ出来ていない人は、どうなっちゃうのかなぁ?」

心桜「単純に切り捨てられるだけ・・・」

七夏「そんな・・・」

心桜「でも、その教師の教育方針がそれなら、そうなるよね・・・間引かれ教育とか?」

笹夜「つまり、その教師の世界は、自分には適合していないという事になるのかしら?」

心桜「だね・・・だけど、そこをなんとかするのが、あたしたちなんだよ!」

七夏「はいっ!」

笹夜「なんとか・・・してあげたいですけど・・・」

心桜「そうかっ!!」

七夏「どしたの!?」

心桜「先に出来た人を待たす訳にはゆかないって事はさぁ・・・」

七夏「はい」

心桜「先に出来ても休憩すら貰えず、次々と課題を積み重ねられるだけにならない?」

笹夜「そう・・・なりますね」

心桜「って事なら、一生懸命物事をこなそうとしなくなる・・・賢い人ほどそうなると思うなぁ」

七夏「なるほど☆」

心桜「従って『ダメ人間を増やす教育方針だねっ!!!』これでどうだぁ~!!!」

笹夜「ダメ人間って・・・心桜さんっ!」

心桜「だってさあ、行っても行っても次々と課題を積まれる状況が続くと、どうなるか考えるまでもないでしょ!?」

笹夜「まあ、確かにそうですけど、何事も『ほどほど』が大切ですね♪」

心桜「結局、その言葉に尽きるよね!」

七夏「先に出来た人は、『復習しましょう』が、いいな☆」

心桜「ふっ復讐!?」

笹夜「心桜さん『復習』です!?」

心桜「え!? その違い分かんないんですけど!」

笹夜「七夏ちゃんの言葉ですよ!?」

心桜「あははっ! 分かってますって!」

七夏「お便りの人も、先に出来なくても、頑張っていれば、いずれ良いことがあると思います☆ どうしてもダメなら、ここちゃーの話してた内容で相談してみるといいかもです☆」

心桜「そだねー。先に出来た人は、まだ出来ていない人の事を考える気配りを養う機会だと心得よ!」

笹夜「人間、得て不得手があります。お便りの人もきっと他の人よりも得意な事があるはずです♪ そんな時、お便りの人はきっとまだ出来ていない人の事を気遣える心が芽生えると思います。『先に出来た人を待たせない教育』から反面教師的に芽生えたのが優しい心なら、このような教育方針も無意味ではなさそうですね♪」

心桜「笹夜先輩・・・遠まわしな皮肉ですねー」

笹夜「そ、そうかしら? すみません」

心桜「いやいや、まとめてくださって、ありがとうございます! つっちゃーもねっ!」

七夏「はい☆」

心桜「という事で、あたしたちの考え方はこんな感じです! あくまでも回答ではなく、助言ですので、ご参考程度に!」

七夏「お便り、ありがとうございました☆」

笹夜「頑張ってくださいね♪ モンキーミミさん♪」

心桜「モンキーミミ!! そうだったっ!!」

七夏「え!?」

心桜「・・・いや、なんでもないっ!」


随筆七 完


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随筆七をお読みくださり、ありがとうございました!

本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!

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