幕間八:昆虫に例えると
幕間八:昆虫に例えると
心桜「それにしても、この前のアイツ!!」
七夏「どしたの? ここちゃー?」
心桜「あたしに、タックル決めてったあの虫・・・コメツキムシだっけ?」
七夏「あ、あの虫さん!?」
心桜「っそ!」
七夏「それで、昆虫図鑑を見てたの?」
心桜「うん!・・・で、見つけたよ。アイツ、これじゃない?」
七夏「あ、確かに」
心桜「オオナガコメツキ・・・か」
七夏「黒くて、ツヤツヤさんですね!」
心桜「そだねー、黒くてツヤツヤした笹夜先輩の黒髪みた・・・はっ!」
七夏「ど、どしたの? ここちゃー?」
心桜「い、いや・・・一応、周囲を確認しとこうかなーって・・・右よーし、左よーし」
七夏「???」
心桜「つっちゃーの、お父さんの真似~」
七夏「くすっ☆」
心桜「んで、コイツ、あたしの頬っぺたにタックルしてった訳だけど、もう少しであたしのファースト持ってかれる所だったよー・・・あーアブナイ!!」
七夏「ふぁーすとって、なぁに???」
心桜「いや、なんでもないっ!・・・で、コイツ、お兄さんの言ったとおり、首の力で跳ね上がる能力があるみたいだね・・・不思議なヤツだよ」
七夏「そうですね・・・私もびっくりしました。昆虫さんって、不思議が沢山です!」
心桜「つっちゃーも、なかなかの不思議さんだけどねっ!」
七夏「え!?」
心桜「そうですなー。昆虫に例えると・・・つっちゃーは、ふわふわ飛んでく蝶々さん~」
七夏「じゃあ、ここちゃーは、スイスイ飛ぶトンボさん~」
心桜「んで、笹夜先輩は、切れ味抜群!!! オオカマキ・・・」
笹夜「私が何かしら!?」
心桜「どわぁ!!!」
七夏「あ、笹夜先輩!! こんにちわです☆」
笹夜「はい! こんにちは、七夏ちゃん♪」
心桜「さ、笹夜先輩!こんちわー・・・い、いつからそこに!?」
笹夜「え? たった今ですけど・・・な、何かしら?」
心桜「んー、どこにステルスパーツ付いてんのかなーって?」
七夏「こ、ここちゃー!!」
笹夜「で、心桜さん!?」
心桜「は、はい!?」
笹夜「私が・・・何かしら?」
心桜「う・・・す、すみません・・・」
笹夜「はい♪」
心桜「あれ? 笹夜先輩、怒らないのですか?」
笹夜「謝って反省している人に、怒る必要ってあります?」
七夏「私、笹夜先輩のそういう所・・・素敵だと思います!」
心桜「うぅ・・・笹夜先輩が女神様に見えるよ~」
笹夜「まぁ☆」
心桜「笹夜先輩は、これ!! カラスアゲハ・・・かな!?」
七夏「あ、綺麗な黒髪のイメージに、ぴったりです☆」
笹夜「ありがと。七夏ちゃん、心桜さん!」
心桜「んで、こいつ、オオナガコメツキなんだけど」
七夏「はい」
心桜「なんで、仰向けになった体制からあんなに勢いよく跳ね上がれるんだろうって?」
七夏「確か、柚樹さんが、慣性の法則が・・・って、お話してました」
笹夜「慣性の法則は、物が同じ運動状態を維持しようとする事かしら?」
心桜「同じ運動状態ねぇ・・・」
笹夜「止まっている物は、止まり続け、動いている物は、動き続けようとする性質です」
心桜「それは、なんとなく分かるんですけど・・・この昆虫図鑑には、コメツキムシが跳ねる事の説明はあるんだけど、どうやって跳ねているのかの解説はされてないみたいだね」
七夏「確かに・・・」
心桜「蟹カニ~・・・だから、肝心な所で『おあずけ』食らっているみたいな、やりきれない感がハンパないんだよね~」
笹夜「心桜さん。慣性の法則と、その昆虫の体の構造を考えてみてはどうかしら?」
心桜「体の構造!?」
笹夜「ええ」
心桜「んと、まず『仰向けに寝る』・・・そして首を勢いよく曲げて頭を持ち上げる?」
七夏「こ、ここちゃー!!」
心桜「ん? どしたの? つっちゃー?」
七夏「ここちゃーが頭を起こした時に・・・えっと・・・あ、あれ!?」
笹夜「七夏ちゃん、頭を起こした運動エネルギー・・・関節の限界によって頭の動きが固定された時、その運動エネルギーが体全体を持ち上げる・・・かしら!?」
心桜「な、なるほど~、でも、あたしは同じ事をしても、跳ねれないよ?」
笹夜「それは、体積と体重が大きく違いますから・・・」
心桜「ん? どういう事ですか?」
笹夜「体積と体重が小さくなれば、重力の影響を受けにくくなって、小さなエネルギーでも大きな運動が出来るという事になります」
心桜「じゃ、あたしがコメツキムシくらいに小さくなれば、同じ事が出来るって事ですか?」
笹夜「体の構造が違いますから、大きさだけの問題ではないと思います」
心桜「体の構造・・・強靭な首の力が必要って事か・・・アメフト選手が適任かもね?」
笹夜「アメフト選手・・・そうなのですか?」
心桜「いや、なんとなくってだけです」
笹夜「体の構造と大きさが同じになれば、理論上は可能かしら?」
七夏「それって、コメツキムシさんそのものって事かな?」
笹夜「はい♪ そうなりますね♪」
心桜「んな・・・んー・・・そっか・・・でも、なんとなくだけど、理解できてスッキリしたよ! 笹夜先輩! ありがとうございます!」
七夏「ここちゃーがすっきり出来て良かったです☆ 笹夜先輩! ありがとうございます☆」
笹夜「いえ、どういたしまして♪」
心桜「という訳で、みんなも昆虫に例えてみようー!!! ただし、その結果についてあたしたち『ココナッツ』と笹夜先輩は一切、責任を持ちませんので、あしからず~」
七夏「もー・・・ここちゃー・・・はぅぁ・・・」
幕間八 完
------------
幕間八をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます