茶色に近い、緑色。

パンの欠けらが床に落ちていたから、私は拾おうとしたの。それでも貴方は私の腕を遮って、代わりにとってくれた。パンの粉が付いた手を器用にティッシュで拭き取り、テーブルの上に置かれた青いマグカップを包み込んだ。ちょっと寒くなってきたね、なんて私に言いながら、欠けらのことなんて、頭から消し去られていた。私は、未だに気になってしまって、ゴミ箱を覗き込んだ。中には何も入っていなくて、黒い袋に反射する白い光だけが浮かんでいた。どうしたの、なんて貴方が言うから、私までどうでも良くなってきた。どうしたの、こっち向いて、なんて私に微笑みかけて、ミントティーを一口啜っていた。私もミントティーのように啜られて、食べられちゃうのかな、なんてことを思いながら、目を見つめてあげた。でもきっと、見つめてあげたんじゃなくて、私が見つめたかったんだと思う。なんて、嘘。やっぱり言われたから、そう思い込むことにした。

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