恋人


私は日常が官能的だと思ってる。日常と言っても日々の何気のない、無防備な姿を曝け出している時間の事だ。洗い物を洗ったり、歯を磨いたり、靴を履いたり、服を着替えたり、靴下を畳んだり、掃除機をかけたり、髪を結んだり、寝転がったり、テレビを眺めていたりとしているような、自分らしくなっている瞬間が本当の艶やかさを醸し出していると思う。

恋人のためにメイクをしている時や、恋人の好きなような服装を選んだり、愛の確かめ合いの準備している時は、官能的であるが、隙がない。あるがない。その隙は恋人のためだけの隙である。だから誰もみていない無防備な日常が「真の官能」だと思っている。

日々の詩情。日常が醸し出す、その厭らしさ。

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