第3話 つかの間の平和の訪れ
それでしばらくはみんなで作業が出来ていたのですが、しばらくすると以前体調が悪くなった者がまた休みだしました。以前よりも余計に体調が悪そうです。
しかし他の多くのお魚たちは体調も悪くなることもなかったので、今度も楽をしたいために体調が悪いフリをしてると決めつけてしまいました。
「休みたいからって体調悪いフリをするな!」
「こっちだって休みたいんだよ!」
「働かないで水草食べてるなんて大人として、いえお魚としておかしい!」
と散々な言われようでした。
そんなこんなで働いているお魚たちの間で休んでいる者への不満がどんどん増えていきました。
「体調が悪いのだから無理に働かせなくても…」
という意見もありましたが、吹き上がった不満の前ではその声はかき消されてしまいました。
そしてついに大人たちは無理やりにでも休んでいる者を働かせることに決めました。
休んでいるお魚のところに行き、強引に引きずり出しました。
そのお魚は体調も悪いので満足に働けませんでしたが、監視役のお魚が尾ビレで叩いて無理やり作業を続けさせました。
そしてある日、ついに体調が悪くなっていたお魚は作業中に死んでしまいました。
また他の体調の悪いお魚たちもものすごく具合が悪そうです。
しかし大人のお魚たちは
「あいつは元から体が悪かったから運悪く死んでしまっただけだ」
「こっちは何も具合が悪くなってないんだから、休むなんてのは甘え」
と死んでしまったこともまったく気にすることはありまでした。
そしてしばらくするとまた一匹、また一匹と死んでいき、悪口を言われ続けたお魚の中には湖の外に逃げ出す者も出てきてしまいました。逃げ出すといってもそこは地上。飛び出しても水がないためすぐに干からびて死んでしまいました。
そうこうしているうちに死ぬようなお魚も出なくなりました。大人のお魚たちも普通に毎日藻の片付け作業を続けています。休むようなお魚もいなくなったため、特に不満もなくまた以前のように平和な暮らしが訪れました。
しかし、以前と比べると何か様子がおかしいです。作業中の光景でも見られましたがちょっとしたことですぐにケンカを始めるようになり、そこらかしこでトラブルが起きるようになりました。大人のお魚が子供に当たり散らしたり以前の平和とは違った状態です。そして、藻の掃除作業をしているお魚たちの体にある変化が見られました。
体の一部が紫色になっているのです。
それは一部分だけだったり体全体にまだら模様だったりしましたが、トラブルを起こしやすいお魚ほど紫色の部分が多いようです。
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