第8話 まち

 カバン達を乗せたバスは港を出発するとゆるいカーブのつづく坂道を走った。しばらくすると大きな吊り橋の上にさしかかった。

「すごーい!このバスはやーい」

「これって、みなとに来る前に見たやつかな」

 カバンは車内からつり橋の大きな柱を見上げた。

「ソウ ミタイ ダネ。コウツウ ノ タメ ノ オオガタ ノ ツリバシ ミタイ ダネ」

 腕のラッキービーストがカバンの言葉に答えるように言った。


 しばらくバスは走り続け、トンネルをひとつ抜けると街が見えてきた。

「少し変わったところだね」

「なんだか、すごいのだ!」

「みてみて、なんだかとしょかんとか、ろっじみたいなのがたくさん並んでいるね」

 サーバルは車窓を眺めながら言った。

「そうですね」

「ラッキーさん、ここはどんな所なんですか?」

「パーク ノ ナカ ニ ツクラレタ マチ ダヨ。ヒト ガ セイカツ スルタメ ノ エリア ダヨ。デモ イマ ハ ヒト ハ イナイ ジョウタイ ダヨ」

「へー、ヒトってこんなとこに住んでいるんだ」

「でも、フレンズさん達もいないみたいですね」

「ココ ハ ヒト センヨウ エリア ダカラネ。コンカイ ハ ツウカ スル ダケ ダカラ キミタチハ トクベツ ダヨ」

 そのあと緑帯ラッキービーストは「ア…」と呟くと、

「チョット テイシャ スルヨ」

と言って運転していたバスをゆっくりと停車させた。

「ボス、どうしたの?」「ラッキーさん?」

 それからカバン達がふと前の方に目を向けると、道の先からなにやらこちらに向かって歩いてくる姿が見えた。

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