第2話 ほせんてき

 さっそくカバン達は帆をつくるために動き始めた。


「ここの丸太を一本外して真っ直ぐ立てて、そこにこの袋を広げた状態で上手く固定できれば、ラッキーさんの言う、‘ほ’っていうのができると思います」

 カバンはサーバルたちが乗ってきたバスの片方に突き出た丸太を指さして言った。

「カバン キヲツケテ。 ソコ ハ アウトリガー ノ ヤクメ ヲ  シテイル カラネ」

 突然ラッキービーストが少し強い口調で言った。

「ラッキーさん、あうとりがー?ですか」

「フネ ノ バランス ヲ タモツ モノ ダヨ。 フネ ガ ヨコ ニ ヒックリ カエル コト モ アルカラ ソレヲ フセグ タメ ノ モノダヨ」

「えー、じゃあ、その‘ほ’っていうのはつくれないのか?」

 アライさんは残念そうに言った。

「横にひっくり返らないようにか…」

 カバンは何やら考え込んだ。

「ラッキーさん、バスの前の部分をここの横に並べてつなぐのはどうでしょう?」


 今はバスの‘前の方だった部分’が、サーバル達が乗ってきたバスの‘後ろ側だった部分’の後ろに縄で繋がれている状態だった。


 ラッキービーストはカバンのアイデアを聞いて、少し間を置いてから答えた。

「ワカッタヨ。ソレナラ タブン ダイジョウブ ダネ」

「やったね!かばんちゃん!」

「やっぱり、かばんさんはすごいのだ!」

「かばんさん。それから、この青いやつも、‘ほ’に使えるんじゃないかな」

 そう言ってフェネックが指したのは、バスの後ろに付いている日よけだった。

「そうですね。もしかしたら、そのまま使えるかもしれません」

 それから、みんなでフネになったバスを‘ほせん’にするために作業を開始した。

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