ニー子ちゃん、授業!

 ニー子は、ぴちぴちの女子高生。

 女子高生であるなら、授業中にやることは一つだ。そう、スマホゲーである。

 席は窓側の最後尾なので、先生の目を盗んで、スマホを弄るのには、絶好のポジション。

 で、あるのだが、

「クソ、なんで救援来ないんだよ」

 複数人のユーザーで倒すことを目的とされた、所謂レイドボス。そのボス戦は、救援願いを出すことで、他のユーザーを、この戦いに招待することができる。でもって、みんなでボコって、ボスを倒すわけだ。

 ソロでクリアできなくもないが、時間もかかるし、アイテム使いまくるし、余りにもコスパが悪い。だからこその、救援願いであるわけだけど……。

 待つこと五分。

 せっかくのレアボスなのに、集まりが悪い。やる気あんのか、レアボスだぞ。

 まぁとりあえず殴っておこう。そのうち誰かしら来るでしょ……と、思ったら、画面上部にユーザー参戦の通知。やっと来た。

 と、そいつが来て間もなく、チャット欄に新着。

 なんだ? 文字打つ暇あるならボス殴ってよ。

 内心で愚痴りつつ、チャット欄を開く。そこにはただ一言、

『ちゃんと授業やれ』

 顔を上げると、先生が、黒板前から、スマホ片手にこちらを見て、にっこり。

 彼女が、このゲームのユーザーであると同時に、わたしのフレンドでもあることを、忘れていた。

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