第七章〜命の唄を響かせて〜

第22話 命の鼓動を失って

人は生まれついた時から平等ではあらず。

弱者は潰され強者は上に立つものなり。

人は争いに負けたのならば代償は支払うものなり。それ即ち「人としての権利」なり。

セカイに神あらず。悪魔あらず。

セカイは人が造り上げるものなり。

敗北者は勝者に歯向かうことあるべからず。


第22話 命の鼓動を失って


・・・大逆転劇とは言ったが、対策法など全く頭にはない。アイルがいたならば、どう考えるのだろうか。

「深く考えすぎるのではないぞユウキ殿。こんな状況下だから長居できぬぞ?」

あぁ。確かに。長居してるとあまり良くない。

「しかしまず最初に何とかしなければいけないのは、アレクダルアのお嬢さんじゃの。お嬢さんがいるとあまり動けん」

お嬢さんって・・・スタークジェガンはいったい何歳なんだよ。

「でもスタークジェガン。どこに連れていくのかわかるのか?」

「わかるか」

駄目だなこれは、

『私は・・・ストレームバレット州に届けてもらえれば、だいじょうぶですから』

アレクのお嬢さんがようやく口を開いた。アレクダルア共和国は三つの大陸と島に分かれており、我々のような他国には西アレク、東アレク、中アレクと呼んでいる。首都は中アレクのルナムーンショムルック州のマリンバレー市。アレクダルア共和国軍総合軍事総司令部マリンバレーもここにある。ストレームバレット州はルナムーンショムルック州の横であるが、アレクダルア共和国軍は絶賛同盟軍と戦争中。ストレームバレットまでは行けることもないが、リスクはゼロではない。・・・が、これ以上身動きとそれ以上のリスクを背負うのは好ましくない。

「じゃあスタークジェガン。お嬢さんをストレームバレットまで送っていいか?」

「うむ。任せるぞ」

そうしてスタークジェガンが偽造しまくった書類を速達でマリンバレーに届け、本国から救援を要請し、ユウキ達はシャロットをストレームバレットへ送り届けた。

「届けたはいいものの、アレクのお嬢様じゃ。きっと世たちのことを探しに来るだろうなぁ」

「あぁ。逃げ切れるとは思わんがな」

「思わなくてどうするのじゃ、逃げ切るのじゃよ」

と、言われても、何が何だかさっぱりだ。外は外で大戦争中。中は中で国家反発。クソッタレだ。

そして急にスタークジェガンがつねってくる

「痛い痛い!暴力とは!」

するとスタークジェガンは不思議そうな顔で

「なにをゆうておるのじゃユウキ殿。暴力はいけないと言うが、この世界を守る警察や軍も言ってみれば暴力じゃろう?それなのに立場が少しだけ違う世がなぜ暴力をしたらそれを指摘されなければならないのかの?おかしくはないだろうか?」

うわー。よくいるめんどくさいやつー。

「度し難いなスタークジェガン、」

「言うな」


同盟歴0001 1,20 アレクダルア共和国軍総司令部マリンバレー、作戦会議本会場


「奇襲をかけるべきなのではないのか!」

「警備が強化されている同盟軍に対して奇襲が成功する訳なかろう!」

「その確信はどこにあるんじゃ!」


『猿の集団が喚くな。哀れな者共め。』

瞬間、罵声が飛び交っていた会場に沈黙が訪れた。


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